内容説明
明治なかば、燎原の火のようにひろがった〈こっくりさん〉。人々はなぜ、この不思議な遊びに熱狂したのだろうか。大流行した〈心霊学〉や〈催眠術〉、全国を二分した〈千里眼〉論争。〈こっくりさん〉とともに歴史の深層に沈んだ現象を発掘し、日本近代のもうひとつの顔をあきらかにする力作。
目次
第1章 明治のこっくりさん
第2章 催眠術と「煩悶の時代」
第3章 千里眼と科学
第4章 科学のゆくえ・心霊学のゆくえ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
30
「こっくりさん」「千里眼」オカルト分野ということ以外に共通性がなさそうだが、両者はいずれも明治時代に生まれ、科学によって否定されることによって確立した奇妙な存在だ。特に千里眼は明治の文豪たちが題材としても扱い、学者が注目し、新聞がマッチ・ポンプ式に囃し立てて日本中が大騒ぎになった。これは科学の絶対性を示すパフォーマンスにもなったし、日本的スピリチュアリズムが形成されていく契機ともなった。ただのオカルト用語としか認識していなかったものを日本思想史として見た時の重要性を解説してもらえて面白い読書になった。2023/05/05
ハチアカデミー
16
明治より日本に移入されてきた心霊学や催眠術について、社会的・学術的な受容背景をまとめた一冊。科学がオカルトを駆逐したのではなく、「近代が抱え込んでしまった問題」、科学がすくい上げることのできない問題(信仰や死語の世界など)が、「近代という制度の疲弊」として「霊」的なものとして語られていったという観点から、こっくりさん、催眠術、千里眼などを考察していく。それらは日本独自のものではなく、西洋の新しい学知、科学として受容される。「動物電気」を唱えるメスメリズムは、日本文学へ影響を与えていることがよくわかる。2014/12/09
シルク
14
わたくしの小、中学生の頃ってのは、幸い、「こっくりさん」全盛期からちょっと外れていたのだろう。「こっくりさん」は、その頃流行っていた「学校の怪談」みたいなもんの中で聞くくらいで、身近なところでやってる人はおらんかった。1970年代に教師やってた知り合いは、「ある日の放課後に、クラスの女子がこっくりさんやってて、『早く帰りなさい』って怒ったら、ひとりがぶっ倒れて、救急車を学校に呼ぶ羽目になったわ。一種の集団ヒステリーよね」と言っていた。ぶっ倒れた女生徒のその後を、その人はとんと語ってくれなかったけど。。→2022/02/06
amabiko
1
タイトル、正しくは『こっくりさんと催眠術、千里眼』。第四章が難しい。再読の必要あり。2019/01/20
澤水月
0
950106