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出版社内容情報
次々と発見される巨大ウイルスは、新しい生物グループ(ドメイン)ではないか? 最先端のウイルス研究が問い直す「生物とはなにか」 2013年7月、「超巨大ウイルス」に関する第1報が、科学誌『サイエンス』に掲載された。発見当初は「新しい生命の形」というニックネームが与えられていたというこの巨大ウイルスは、論文では「パンドラウイルス」という名が付けられていた。むろん、その名の由来はギリシア神話の「パンドラ」である。
当初、このウイルスが「新しい生命の形」と名付けられたのには理由があった。その姿が、それまでのウイルスとは大きく異なっていたからだ。かといって、これを生物とみなすにはあまりにもウイルス的であった。ウイルスでもない。生物でもない。だとしたら、これまでに全く知られていない新たな生命の形なのではないか。そもそも、「生物」とはいったい何なのだろうか?
現在、生物の世界は3つのグループ(ドメイン)に分けられることになっているが、ウイルスはそれにあてはまらない。しかしもしかしたら、新たな「第4のドメイン」が付け加わることになるかもしれない。そんな議論が巻き起ころうとしている。
巨大ウイルスには、パンドラウイルスのほか、ミミウイルス、ママウイルス、メガウイルス、ピトウイルスなどが発見されている。本書は、そんなウイルスたちと、彼らにまつわる生物たちの話である。
はじめに
第1章 超巨大ウイルスの発見
1‐1 ミミウイルスの発見
1‐2 そもそもウイルスとは何か
1‐3 続々と発見される巨大ウイルス
1‐4 パンドラウイルスとは何か
1‐5 眠りから覚めた超巨大ウイルス
第2章 第4のドメインとは何か
2‐1 核細胞質性巨大DNAウイルス
2‐2 生物の分類とrRNA遺伝子
2‐3 3ドメイン説
2‐4 第4のドメインと新たな提案
2‐5 迷走する議論 ?ウイルスは生きている?生きていない??
第3章 「生きている」とはどういうことか
3‐1 生物とは何か、細胞とは何か
3‐2 ウイルスが先か、細胞が先か
3‐3 ウイルス工場とヴァイロセル
3‐4 細胞核は生きている?
3‐5 ミトコンドリアと葉緑体
第4章 新しい初期生命進化論へ
4‐1 細胞核と巨大DNAウイルスとの関係とは
4‐2 巨大DNAウイルスと生物の進化
4‐3 アンフォラ(壺)型ウイルスの進化・私案
4‐4 巨大DNAウイルスが語りかけるもの
おわりに
参考文献
武村 政春[タケムラ マサハル]
著・文・その他
内容説明
次々と発見される巨大ウイルスは、サイズが大きいだけでなく、多彩な遺伝子を持ち、細胞性生物に近い機能を備えているものもいる。これらの新発見により、「ウイルスは生物ではない」という定義が揺らぎ、巨大ウイルスは未知の生物グループ(ドメイン)ではないかという議論が湧き上がってきた。最先端のウイルス研究が「生物とは何か」をあらためて問い直す。
目次
第1章 超巨大ウイルスの発見(ミミウイルスの発見;そもそもウイルスとは何か;続々と発見される巨大ウイルス;パンドラウイルスとは何か;眠りから覚めた超巨大ウイルス)
第2章 第4のドメインとは何か(核細胞質性巨大DNAウイルス;生物の分類とrRNA遺伝子;3ドメイン説;第4のドメインと新たな提案;迷走する議論―ウイルスは生きている?生きていない?)
第3章 「生きている」とはどういうことか(生物とは何か、細胞とは何か;ウイルスが先か、細胞が先か;ウイルス工場とヴァイロセル;細胞核は生きている?;ミトコンドリアと葉緑体)
第4章 新しい初期生命進化論へ(細胞核と巨大DNAウイルスとの関係とは;巨大DNAウイルスと生物の進化;アンフォラ(壷)型ウイルスの進化・私案
巨大DNAウイルスが語りかけるもの)
著者等紹介
武村政春[タケムラマサハル]
1969年三重県津市に生まれる。1998年名古屋大学大学院医学研究科修了。医学博士。名古屋大学助手等を経て、東京理科大学理学部第一部准教授。専門は、生物教育学、分子生物学、細胞進化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。