内容説明
どうしたら人は苦悩の性質を知り、悩みを活かすことができるのか。対人恐怖、過食症、不安神経症、不潔恐怖、うつ病…。つらい苦しみや悩み、不安、恐怖からあなたを解放する治療の実際を紹介。新しい視点から森田療法を見直し、応用している著者の提言、苦悩にとらわれやすい人に、確かな生の手ごたえをつかむ法を伝授。
目次
森田療法の発想
人はなにを悩むのか
とらわれと欲望
治療の実際（思春期・青年期の悩みとその解決；成人期・中年期の悩みとその解決）
森田正馬の生涯と森田療法の成りたち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
124
悩めば悩むほど、悩みを取り除こうと努力すればするほど、その悩みは深くなり絶望する。他者の存在なしに緊張は起こらない。意識した瞬間に不安は生まれて混乱する。…対人恐怖で悩む方は、自分の欠点が露呈してしまうことを恐れ、相手が不機嫌になること、不快感を与えることを恐れ、些細な相手の仕草から兆候を読み取ろうとする。連鎖的悪循環に陥る。深みにはまった自分を受け入れられず、脱出できずに更に悩む。…考えることや向き合うことは大事だが、心に深い傷を負うまで追い込んでいる自分の感情に気づくことが大切。経験者は多いはずです。2020/05/10
桃の種
3
べき主義をやめること、また、悩みを認め共生して生きるのが良い。シロクマの実験みたいな事も書かれていた。やめようと思ったらやめられない。考えないようにしようと思うと考えから離れられない。2019/12/11
さくらい
3
臨床心理系の本はもう読まないとつぶやきつつも、結局必要に迫られて手に取ったこの本。どういったことが原因で神経症になるのか、なぜこの療法が神経症に効くのかを、ケーススタディで分かりやすく説明してくれるので森田療法の入門書におすすめ。2012/10/18
Asakura Arata
2
これもよく患者さんに貸すが、こちらはしっかり戻ってくる。
tomtom
2
人は悩む生き物である。悩むことはその人の成長を促す。しかし一方で悩みはさらなる悩みを生み、出口のない絶望に人を陥れることもある。ではどうすればよいのか。不安の原因探求、除去、考え方の修正、というフロイト的心理療法に対し、森田療法は悩みや不安を除去しようとはしない。それらはその人のよりよく生きたいという欲望の裏返しであると捉え、その欲望を活かすことに焦点を当てる。患者に対して「厳しい」と表現されることもある森田療法だが、健康な欲望を行動を通じて発揮するための具体的態度、理念やメカニズムを優しく概説している。2016/03/30
