浜の甚兵衛

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  • サイズ B6判/ページ数 333p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062203319
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

東北からはるか北の海に繰り出し力強く生きた明治の男の覚悟と男気。著者ライフワーク「仙河海サーガ」の出発点にして最新作登場!明治三陸地震で2万人を超える犠牲者が出た19世紀末。三陸の仙河海港で沖買船の商売をしていた菅原甚兵衛は、富裕な魚問屋マルカネの社長と女郎屋の女将の子で、正妻の子である兄とはそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いに込めて暮らしていた。海上の事故で船を失った甚兵衛は、大きな借金を抱えつつ、北洋でのラッコ・オットセイ猟に賭けて出る。
東北からはるか北の海に繰り出し強く生きた甚兵衛の覚悟と男気。
東日本大震災を機に、震災をさまざまに描いて小説に昇華する著者ライフワーク「仙河海サーガ」の出発点にして最新作!

第一章 沖買船
第二章 禍根と災厄
第三章 ラッコ船
第四章 出資者たち
第五章 群棲地
第六章 義勇隊
第七章 若女将
第八章 機械船
第九章 再開そして再会
第十章 焦土の先


熊谷 達也[クマガイ タツヤ]
著・文・その他

内容説明

一攫千金を狙ってイチかバチかの勝負!明治29年、2万人を超える犠牲者を出す三陸大津波が発生した。沖買船の商売のため洋上にいて難を逃れた菅原甚兵衛は、港町・仙河海の富裕な魚問屋マルカネの社長と女郎屋の女将の子で、正妻の子である兄とはそりが合わず、鬱屈を粗暴な振る舞いに込めて暮らしていた。ある日、海上の事故で船を失った甚兵衛は、大きな借金を抱えつつ、北洋でのラッコ・オットセイ猟に賭けて出る。

著者等紹介

熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年仙台市生まれ。東京電機大学理工学部卒業。中学校教諭、保険代理店業を経て、’97年「ウエンカムイの爪」で小説すばる新人賞を受賞。2000年には『漂泊の牙』で新田次郎文学賞を、’04年『邂逅の森』で山本周五郎賞に続き直木賞も受賞。同一作品で両賞同時受賞は史上初の快挙(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

144
昨日まで確かに存在していたはずの村が、人々もろとも一夜にして消滅していた・・場所は三陸・仙河海。そうだ、津波が押し寄せたのだ。甚兵衛は沖にいて被災はしなかったのだが、そこからこの物語は始まる。妾の子だったが時代を生き抜く才があったのだろう。徴兵にも就き、そしてまた一旗あげるのだが・・人間味溢れる甚兵衛の視点から、人の持つ妬み・弱さ・強かさを読む。貧しさは辛いなぁ。金に踊るのは今の世も変わらないのが、ちょっと虚しく感じた。故郷を追われるように新天地へ向かう姿が私には切なかった。2016/12/06

ゆみねこ

71
三陸の港町・仙河海に生まれ、明治・大正・昭和を生きた菅原甚兵衛。自らの才覚で財を成しても、人が向ける嫉妬の感情にやりきれなさを感じて生きる。読んだタイミングが悪かったのか、今一つ夢中になれなかったのが残念。機会があればいつか再読するかも?2017/02/28

のぶ

62
海に生きた男、菅原甚兵衛という人物の半生を描いた話。明治後期に三陸大津波が町を襲う。沖の漁船に直接出て行って買い付ける、沖買人をしていた甚兵衛は生活の場を求め、北洋でのラッコ・オットセイ漁に活路を求める、博打のような決断を下す。物語としては面白く読んだが、甚兵衛は禁漁で後半陸に上がってしまい、海の男をとことん味わいたかった自分としては、それが消化不良として残り、人物造形にやや不満が残った。否定的な表現になったが、小説としては決してつまらない作品ではないと思う。2017/01/03

baba

38
邂逅の森が印象に残った熊谷さんの本、今回も読みでがありました。複雑な家庭環境であり、心に鬱積を抱えながらも仲間と海に出る甚兵衛を持ったいたのは、津波被害の無残な姿。それからの彼の生き様が金銭で解決できないことが人には重要と考えに至る。甚兵衛の妻がなかなか良い。残り少ないページで最後に故郷を離れることになった顛末は辛い、その後の彼はどうなったのか?2017/01/15

百太

36
3月が近づき、今年は熊谷達也の仙河海( 架空の町。ほぼ気仙沼市) シリーズをまとめて読むことにしました。 本作は、明治三陸津波から始まる豪快な海の男の半生です。いや~面白かったです。2018/02/22

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