花の忠臣蔵

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花の忠臣蔵

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  • サイズ B6判/ページ数 318p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062198691
  • NDC分類 210.52
  • Cコード C0021

出版社内容情報

事実と虚構、倫理と経済の間で醸成される日本人の心性。元禄から平成へ、時空を超えて紡がれつづける物語の中に歴史の魂を呼び返す。本書は野口武彦氏による『忠臣蔵─赤穂事件・史実の肉声』(ちくま新書、現在はちくま学芸文庫)、『忠臣蔵まで』(講談社)に続く一冊です。『忠臣蔵』において野口氏は事件の発端から終結まで、後世の潤色を取り去り、史料の叢から元禄の人間ドラマをよみがえらせることに成功しました。また『忠臣蔵まで』では赤穂事件を成立させた武士の行動原理(エートス)の帰趨について、尋常ならざる洞察が示されました。
そして本書に至って野口氏はこう言います。
「忠臣蔵をレンズにして眺めると、ただ元禄時代という過去の歴史の一齣だけでなく、日本に流れる時間のなかに住まう歴史の精霊(デーモン)の姿を正視することができる。元禄人に目を据える。と、元禄の死者たちもひたと見返してくる。その眼差しは、同時代だからこそかえってものを見えなくする死角を突き抜けて、現代の迷路をくっきり照らし出すにちがいない」
すなわち、いまなお日本人の心性の根底にあるものを、忠臣蔵という「虚構」の享受、語り口そのものを通じて洗いなおそうとする試みです。そのとき浮かび上がってくる普遍にして不変のものが「貨幣の専権」であることに読者は驚くはずです。
本書は、いわば野口版「忠臣蔵三部作」の掉尾を飾るものとなります。

元禄の春
新人類の武士道
殿中松の廊下
赤穂浅野家の危機
主家滅亡
総員、江戸に潜入せよ
吉良邸討ち入り
亡魂地震


野口 武彦[ノグチ タケヒコ]
著・文・その他

内容説明

将軍綱吉の治世は享楽と不安が背中あわせだった。内匠頭、上野介、内蔵助そして浪士たち…。彼らを突き動かしていた歴史の精霊の姿にレンズをあてる!

目次

第1章 元禄の春
第2章 新人類の武士道
第3章 殿中松の廊下
第4章 赤穂浅野家の危機
第5章 主家滅亡
第6章 総員、江戸に潜入せよ
第7章 吉良邸討ち入り
第8章 「元禄」の終焉
第9章 亡魂地震

著者等紹介

野口武彦[ノグチタケヒコ]
1937年東京生まれ。文芸評論家。早稲田大学第一文学部卒業。東京大学大学院博士課程中退。神戸大学文学部教授を退官後、著述に専念する。日本文学・日本思想史専攻。1973年、『谷崎潤一郎論』(中央公論社)で亀井勝一郎賞、1980年、『江戸の歴史家―歴史という名の毒』(ちくま学芸文庫)でサントリー学芸賞受賞。1986年、『「源氏物語」を江戸から読む』(講談社学術文庫)で芸術選奨文部大臣賞、1992年、『江戸の兵学思想』(中公文庫)で和辻哲郎文化賞、2003年に『幕末気分』(講談社文庫)で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よし

5
まさに一気読み。いろんな時、いろんな映画・劇・ドラマなどで、どれほど「観た」ことか。そして、観る度に、”血湧き、肉躍る”のだった。今回、初めて、文章化された「歴史ドキュメンタリー」として、「忠臣蔵」に接する。「松の廊下」事件とその後の「お家断絶」。そして、「討ち入り」までの義士たちの艱難辛苦。そしてクライマックス。とその後。・・思った以上に、史実は忠実だったことに、驚かされた。後書きに「赤穂浪士達は、平成の現代、一種のテロリスト・・・」という一文に、とても考えさせられてしまった。2016/07/31

カワセミ440

4
ノンフィクションな忠臣蔵だな、余計な感情や想像するに・・っていうのが無い所が、事実と思われるところだけを掬い取った所がいいね。善政を敷くつもりが空回りでマザコンな綱吉や側用人として時の権力に、綱吉に取り入っちゃう出世が全てな吉保とか、実務派だけどホントに昼行灯だった?内蔵助とかやっぱり剣豪で仇討積極派だった堀部安兵衛とか・知らなかった事実はやっぱり無いけど何故か面白かった。人間は見かけの一面だけじゃないからね。浅野内匠頭と吉良上野介、その喧嘩?争いのホントの所を知りたいけど、分かんないよね、今となっては。2018/01/21

hasegawa noboru

1
浅野内匠頭は勅使御馳走役を十八年前、十七歳の年に仰せつかっていて、元禄十四年のその時は二度目の再役であったなど、細かに新たに教えられたことは多々あるが。歌舞伎、映画、テレビ等々ですでに国民的神話とまでなっている忠臣蔵物語の数々はすでに私の頭の中にも出来上がっていて、それとこの本の内容、主筋が大きくそれるというほどのことはない。2017/12/31

Splash

1
忠臣蔵のストーリーに沿って、おたくっぽい綱吉、綱吉の歓心を買いながら政権の権威も守りたい柳沢吉保など、場面場面で登場人物の性格や背景事情を紹介。浅野内匠頭は吉良上野介を斬りつけたのは、松の廊下ではなく控えの間だったこと、軽く背中を斬りつけただけだったことなど、知らなかった情報も盛りだくさん。忠臣蔵を多面的に知ることのできるドキュメンタリー。2016/03/27

麦畑五十郎

0
同著者ちくま版の改訂版の様相。ちくま版との差異はふたつ、ひとつは貨幣経済の伸長に伴う体制矛盾を事件を貫く骨に据えたこと。もうひとつは忠義メンタリティの温度感がややあがり、ちくま版よりウエットな印象が残ったこと(花を冠する本作と前著「赤穂事件」のタイトル差) 同じ事件を同じ人が取り上げても、時間の経過で著述の方向が微妙に変わる事実に、歴史を読む際の態度を教えられた気がする。忠臣蔵ほど時代の気分で読まれてきたモノガタリはあるまい。事件の真実ではなく解釈がその後を作る。それらのズレに嵌った人々こそ真の被害者か。2020/06/07

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