ヨイ豊

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  • サイズ B6判/ページ数 363p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062197762
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

江戸の浮世を写した錦絵は、維新をどのように迎えたのか。時代に抗った二代歌川国貞と弟弟子・国周の姿を描いた、長編歴史小説!

元治2年(1865)如月、清太郎の師匠で、義父でもある三代豊国の七七日法要が営まれる。
三代は当代きっての花形絵師。歌川広重、歌川国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた。
すでに広重、国芳を亡くし、歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。版元や絵師、公演者たちなど集まった弔問客たちの関心はそのことに集中した。
清太郎には義弟の久太郎と、弟弟子の八十八がいた。久太郎は清太郎と同じく、門人から婿養子なった弟弟子。
そして八十八は、清太郎より歳が一回りも下の弟弟子。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。八十八が弟子入りしてすぐに三代はその才能を認め、挿絵を大抜擢で任せたりしたものだ。
かたや清太郎が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがない。その上、版元たちからは、三代の通り名「大坊主」を文字って、「小坊主」と呼ばれる始末。
いったい、誰が「豊国」を継げようものか。清太郎は、苦い振る舞い酒を口へ運んだ──。
黒船騒ぎから12年が経ち、京の都には尊王攘夷の嵐。将軍さまは京に行ったきりと、徳川の世は翳りはじめていた。時代のうねりの中で、絵師たちは何を見、何を描き、何を残そうとしたのか!

内容説明

黒船来航から12年、江戸亀戸村で三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた大看板が亡くなったいま、歌川を誰が率いるのか。娘婿ながら慎重派の清太郎と、粗野だが才能あふれる八十八。ひと回り歳が違う兄弟弟子の二人は、尊王攘夷の波が押し寄せる不穏な江戸で、一門を、浮世絵を守り抜こうとする。

著者等紹介

梶よう子[カジヨウコ]
東京都生まれ。フリーランスライターのかたわら小説執筆を開始し、’05年「い草の花」で九州さが大衆文学賞大賞を受賞。’08年「一朝の夢」で松本清張賞を受賞し、同作で単行本デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナイスネイチャ

208
図書館本。偉大な浮世絵師三代歌川豊国が亡くなり、四代を周りから継ぐよう切望されつつも、己の才能に限界を感じ、苦悩しながら書き続けていく主人公清太郎。明治維新という時代の波にも晒されながら実直に江戸絵と歌川家を守っていく物語。天才八十八の実力を嫉妬と憧れで見つめながら、凡才の評価しかされない清太郎の悲壮感は心に突き刺さる内容でした。地味ですが、私的には記憶に残る良作でした。2016/01/23

starbro

163
直木賞候補になってから予約したので、ようやく読めました。梶よう子、初読です。直木賞受賞作の「つまをめとらば」よりも遙かに読み応えがありました。主人公が少し地味なのがネックだったのでしょうか?江戸時代の浮世絵師は、現代のイラストレーターとカメラマンの中間のような職業だったのかも知れません。いずれにしても中途半端に才能があると辛いんだろなぁ!2016/04/26

修一朗

123
読後に「東京神田筋違目鑑橋創築繁栄之図」「東京高縄品川口蒸気車往来之図」を見た。この絵は明治維新と共に衰退していった歌川錦絵の最後の姿だったのだ。歌舞伎役者の大首絵や美人画などで隆盛を極めた伝統工芸美術たる錦絵が,御維新とともに新技術に押され廃れていく姿が詳しく描かれている。清太郎は歌川一門のサリエリ,才能ある弟弟子への嫉妬と責任感に苦しむが,素質がモノを言う世界の宿命だ。直木賞選考会では,ドラマが足りない,迫力不足という講評だったようだが,自分は滅びゆく文化を目の当たりにしているようで大層面白かった。2016/03/12

遥かなる想い

121
幕末の江戸を舞台に 浮世絵に人生を賭けた 男たちを描く。歌川の3代目亡き後、誰が 継ぐのか…清太郎と八十八の兄弟弟子の 対比が 鮮やかで面白い。 あまり馴染みのない幕末の絵画の苦闘が伝わってくる…そんな作品だった。 2021/08/20

なゆ

109
ヨイ豊…そういうことだったのか。三代豊国が亡くなり、誰が四代豊国を襲名するのか。最有力候補の清太郎と、才能あふれる弟弟子の八十八、どちらが…という感じで読み進んだが、読みどころはそこだけではなさそうだ。ちょうど時は幕末からで、江戸の世が維新の波に押し流される頃。作中で描き出される役者絵の数々、浮世を、憂き世を書きたいという想い。豊国の名を、そして錦絵、浮世絵を守らんとする想い。いろんな想いがあふれている。廃れゆく浮世絵に対して皮肉ったようなラストには、強く問いかけるものがある。これ受賞させてあげたかった!2016/03/10

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