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血の弔旗

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  • サイズ B6判/ページ数 580p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062196352
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

男には一世一代の賭けに出る時がある。太平洋戦争のさなか、数奇な縁で結ばれた男たちが戦後を駆け抜ける「熱き犯罪小説」。1966年8月15日、根津謙治は目黒区碑文谷二丁目にトラックを止めた。現金11億を奪うためだ。
戦後の混乱期に金貸しをはじめて財を成した原島勇平の屋敷から岩武弥太郎、宮森菊夫の二人と共に強盗計画を実行にうつした根津だったが、アクシデントにより屋敷に居合わせたクラブのママを射殺する。カーラジオからはローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』が流れていた。
この強盗計画にはもう一人、川久保宏が関わっていた。彼の役割はアリバイ工作。4人は奪った金を隠し、4年後の山分けを約束する。
事件は大々的に報道され、根津は厳しい取り調べを受けるが、4人の繋がりは誰にも知られず未解決のまま時は過ぎた。
戦時中4人は疎開の為、別々の出身地からほんの僅かな期間、長野県の郊外で机を並べた仲だったのだ。
事件後、根津は疎開先で世話になった教師・玉置00の娘・鏡子と再会し関係を持ち結婚する。4人でした約束通り、1970年の終戦記念日に11億を取り出し分配した彼らは二度と会うこともないはずだったが、10年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。
「誰が何のために?」
混乱と疑心暗鬼の中、根津は煩悶する。
袂を分かった男たちの軌跡が再び交差する時、昭和を生きた人間の業と事件の真相と明らかになる――。
昭和の時代と風俗を克明に描写した”藤田宜永ノワール”小説。

第一章 強奪者+ワン
第二章 成功への光と影
第三章 血の弔旗


藤田 宜永[フジタ ヨシナガ]
著・文・その他

内容説明

1966年8月15日、根津謙治は目黒区碑文谷二丁目にトラックを止めた。現金11億を奪うためだ。戦後の混乱期に金貸しを始めて財を成した原島勇平の屋敷で根津は居合わせたクラブのママを射殺する。カーラジオからはローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』が流れていた。14年の歳月が過ぎ、新たな事件が彼らの身の周りに次々と起こる。「誰が何のために?」混乱と疑心暗鬼の中、根津は煩悶する。袂を分かった男たちの軌跡が再び交差する時、戦中、戦後を生きた人間の業と事件の真相が明らかになる―。昭和の時代と風俗を克明に描写した熱き犯罪小説。

著者等紹介

藤田宜永[フジタヨシナガ]
1950年福井県生まれ。’86年に『野望のラビリンス』でデビュー。’95年『鋼鉄の騎士』で第48回日本推理作家協会賞長編部門、第13回日本冒険小説協会大賞特別賞をダブル受賞。’96年、『巴里からの遺言』で第14回日本冒険小説協会最優秀短篇賞受賞。’99年『求愛』で第6回島清恋愛文学賞受賞。2001年に『愛の領分』で第125回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

64
戦後の昭和とはこういう時代だったのだなと思いながら読了しました。科学捜査や監視カメラなどない時代、足で歩き執拗に追う刑事。時代の流れと、成功と、手にしたモノが増えるにつれ、変わっていく登場人物たち。この時代をまったく知らない人はどう読むのでしょうか。ストーリーだけを追えば14年の出来事なのですが、その背景にある時代の流れの早さは、まさに「昭和史」です。2015年『このミス』9位、わかる気がします。今の時代、今の年齢の人が書いた昭和史として、記憶に残る一冊になりました。2016/01/03

とくけんちょ

62
軽い気持ちで読み始めたが、内容の濃い大作でした。重大事件を起こし、それにより大金を手に入れた主人公らの人生を描く。一見、悪者によるサクセスストーリーに見えるが、そうは問屋が卸さない。執拗に迫る警察や事件関係者。じわじわと真綿で首を絞めるように主人公を追い詰める。物語の進行とともに、その当時のニュースや流行歌が挿入されるのが、時代の雰囲気を出す。秀作。2020/11/11

そうたそ

53
★★★★☆ 藤田さんは初読みだが、こんなに面白いとは。過去の作品を遡って読まねば。1966年に起こった11億円強奪及びそれに伴う殺人事件。事件を起こした四人の男を移り変わる昭和の時代と風俗とともに活写する長編。昭和を知らない人間ながら、昭和という時代に魅力を感じてしまう描写の数々に結構な分厚さながら飽きを感じることなく読めた。ハードボイルドは苦手だし、話自体も作品を通して派手な動きは少ないのだが、それでも一気読みさせられるというのは作者の筆力そのものだろう。昭和という時代設定が作品によく合っている。2016/01/04

starbro

52
藤田宜永は夫婦共々(妻は小池真理子)良く読んでいる作家です。600P弱一気読みしました。懐かしい昭和のヒット曲が散りばめられた大河ノワール小説です。今は殺人罪で時効はなくなりましたが、完全犯罪になればなるほど、時効って大きく影を落としていたんでしょうね?しかし11億円(現在価値であれば55億円程度)もの大金だと、もっと死にもの狂いで口を割らせるような気がしますが・・・2015/09/23

のぶ

51
この作品の舞台は1960年代後半から80年代前半。作中に出てくる当時の風俗事件、流行歌等が自分のクロニクルとシンクロした。特に思い出深いのは60年代後半。当時自分は小学生。ノイズだらけの白黒テレビで見たレコ大や紅白歌合戦。そんなのがあの時代、宝物だった。家族の団らんもあった。若い人が読んだら???かもしれないけど、そんな時代があったんです。小説の内容を書いていませんが、しっかり書かれた文学作品です。ただ個人的に内容より自身のノスタルジーが上回った。なのでこの思いが本作の感想です。2015/09/26

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