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田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

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  • サイズ B6判/ページ数 229p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062183895
  • NDC分類 673.7
  • Cコード C0033

出版社内容情報

人生どん底の著者を導いたのは天然菌とマルクスだった――次の時代の生き方を探るすべての人へ、不思議なパン職人からのメッセージ

どうしてこんなに働かされ続けるのか? なぜ給料が上がらないのか? 自分は何になりたいのか?――人生どん底の著者を田舎に導いたのは、天然菌とマルクスだった。講談社+ミシマ社三島邦弘コラボレーションによる、とても不思議なビジネス書ここに刊行。「この世に存在するものはすべて腐り土に帰る。なのにお金だけは腐らないのはなぜ?」--150年前、カール・マルクスが「資本論」であきらかにした資本主義の病理は、その後なんら改善されないどころかいまや終わりの始まりが。リーマン・ショック以降、世界経済の不全は、ヨーロッパや日本ほか新興国など地球上を覆い尽くした。「この世界のあらたな仕組み」を、岡山駅から2時間以上、蒜山高原の麓の古い街道筋の美しい集落の勝山で、築百年超の古民家に棲む天然酵母と自然栽培の小麦でパンを作るパン職人・渡邉格が実践している。パンを武器に日本の辺境から静かな革命「腐る経済」が始まっている。
【著者・渡邉格(わたなべ いたる)から読者のみなさんに】
まっとうに働いて、はやく一人前になりたい――。回り道して30歳ではじめて社会に出た僕が抱いたのは、ほんのささやかな願いでした。ところが、僕が飛び込んだパンの世界には、多くの矛盾がありました。過酷な長時間労働、添加物を使っているのに「無添加な」パン……。効率や利潤をひたすら追求する資本主義経済のなかで、パン屋で働くパン職人は、経済の矛盾を一身に背負わされていたのです。
僕は妻とふたり、「そうではない」パン屋を営むために、田舎で店を開きました。それから5年半、見えてきたひとつのかたちが、「腐る経済」です。この世でお金だけが「腐らない」。そのお金が、社会と人の暮らしを振り回しています。「職」(労働力)も「食」(商品)も安さばかりが追求され、
その結果、2つの「しょく(職・食)」はどんどんおかしくなっています。そんな社会を、僕らは子どもに残したくはない。僕らは、子どもに残したい社会をつくるために、田舎でパンをつくり、そこから見えてきたことをこの本に記しました。いまの働き方に疑問や矛盾を感じている人に、そして、パンを食べるすべての人に、手にとってもらいたい一冊です。

第一部 腐らない経済
第一章 何かがおかしい(サラリーマン時代の話・祖父から受け継いだもの)
第二章 マルクスとの出会い(父から受け継いだもの)
第三章 マルクスと労働力の話(修業時代の話1)
第四章 菌と技術革新の話(修業時代の話2)
第五章 腐らないパンと腐らないおカネ(修業時代の話3)

第二部 腐る経済
第一章 ようこそ、「田舎のパン屋」へ
第二章 菌の声を聴け(発酵)
第三章 「田舎」への道のり(循環)
第四章 搾取なき経営のかたち(「利潤」を生まない)
第五章 次なる挑戦(パンと人を育てる)

【著者紹介】
1971年生まれ。東京都東大和市出身。23歳のとき、学者の父とともにハンガリーに一年間滞在。農業に興味を持つようになり、千葉大学・園芸学部園芸経済学科に入学。在学中、千葉県三芳村の有機農家で「援農」を体験。「有機農業と地域通貨」をテーマに卒論を書く。卒業後有機野菜の卸売販売会社に就職、そこで妻・麻里子と出会う。31歳のとき、突如パン屋になることを決意。2008年独立して、千葉県いすみ市で「パン屋タルマーリー」を開業。2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故ののち岡山県真庭市に移住を決意。2012年2月、同市勝山で「パン屋タルマーリー」を再オープン

内容説明

祖父と父の教え、田舎の自然の恵み、築百年超の古民家に棲みつく天然菌、丹精込めて作られた素材…すべてが一つになった、奇跡のパンの物語。お金中心の「腐らない」経済から、発酵を繰り返す「腐る」経済へ。「不思議なパン屋」が起こす、静かな革命。

目次

第1部 腐らない経済(何かがおかしい(サラリーマン時代の話・祖父から受け継いだもの)
マルクスとの出会い(父から受け継いだもの)
マルクスと労働力の話(修業時代の話1)
菌と技術革新の話(修業時代の話2)
腐らないパンと腐らないおカネ(修業時代の話3))
第2部 腐る経済(ようこそ、「田舎のパン屋」へ;菌の声を聴け(発酵)
「田舎」への道のり(循環)
搾取なき経営のかたち(「利潤」を生まない)
次なる挑戦(パンと人を育てる))

著者等紹介

渡邉格[ワタナベイタル]
1971年生まれ。東京都東大和市出身。23歳のとき、学者の父とともにハンガリーに1年間滞在。農業に興味を持つようになり、千葉大学・園芸学部園芸経済学科に入学。卒業後有機野菜の卸販売会社に就職。2008年、独立して、千葉県いすみ市で「パン屋タルマーリー」を開業。2011年3月11日東日本大震災と福島第一原発事故ののち岡山県真庭市に移住を決意。2012年2月、同市勝山で「パン屋タルマーリー」を再オープン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kawai Hideki

125
東京生まれの都会人が田舎にIターンして、素材と菌にこだわった高めのパンを作って売るお話。マルクスの「資本論」をパン屋の話に当てはめて分かりやすく解説。「腐らないお金」が宿命的に持つ資本主義経済のくびきから逃れるための方法論として「腐る経済」を説く。「奇跡のリンゴ」と同じく自然栽培の米を使って天然麹を培養し、自然栽培で自家製粉した小麦粉の生地を発酵。菌がのびのび育つ空気と水を資源に持つ田舎に居を構え、利潤と決別した値付けを行う。本書の主張に全て同意出来るものではないが、一度食べに行ってみたいとは思った。2016/07/12

イスタ

92
読友さんのレビューに惹かれて。腐らないお金という章を読んで「えんとつ町のプペル」を思い出しました。パン職人の職業病と言われている小麦アレルギー。これは実感。私も以前カフェのバイトでピザ生地を作っていた時に、粉まみれになって手に湿疹ができて酷くなる一方でした。原因も残留農薬なんだろうなって。それ以来、小麦粉は道産やスペルト小麦を愛用してます。タルマーリーのパン食べたいなって読みながら思ったけど、我が町の田舎パン屋さんも自家製酵母&地元の小麦を使っていて美味しいので、自分の町のこだわりパン屋さんを応援します。2021/05/08

どんぐり

85
本書は2013年の刊行。岡山県真庭市勝山で2012年に開業した「パン屋タルマーリー」、2015年には鳥取県智頭町へ移転し、パンの製造所に加えてビールの醸造所を始め、地域に経済循環を生んでいる。タルマーリーの世界観は、田舎で経済を「腐らせ」、新たに経済を「発酵」させて、働いた身体に心地よく染みこむパンやビールのように心地のいい経済をつくるというもの。この「腐る経済」の発想がとてもユニークである。どこまでも経済を肥らせ続けようとする資本主義一辺倒の世界に反して、定常型社会の実現を追求している。2021/11/01

それいゆ

83
マルクスを説明されてもよく分かりませんが、こういうパン屋さんがあってもいいのでは。ただ、拡大再生産を否定した訳は私には理解できません。ぜひ勝山へ行って、このパンを買って一度食べてみたいのですが、新たな拠点を鳥取県智頭に移すとのこと。もうパンは食べられないのでしょうか?庶民の感覚では、ホールで700円もするパンを常時買う人がいるのかという疑問があります。岡山県北の勝山という小さな町で、需要と供給のバランスがうまくいくとはとても考えられないのですが?どなたか納得のいく説明をしていただければありがたいです。2016/01/23

けんとまん1007

58
「腐る経済」とは何だ?と思いながら読み始めた。納得した。それとマルクスが出てきたのにも驚きながらも、懐かしくもあった(学生時代、資本論とか読んだ)。食べるものは、食べられるか、食べられなくても腐って土に還るもの。だからこそいいものはいいのだし、それが自然であるべき姿。ところが、最近の風潮は、ますますその反対へ行っている。つまり、生命の営みからどんどん離れて行っているのだと感じている。その影響が、格差・不平等へとつながっていく。マルクスの分析・思想もここで生きてくる。腐るもの、大事なことだ。2015/02/16

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