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獅子渡り鼻

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  • サイズ B6判/ページ数 163p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062182072
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

各紙文芸時評で絶賛! 圧倒的弱者として現代を生きる10歳の少年。その魂の再生を描く奇蹟の物語。

入江と山に囲まれた土地を舞台に、その母の故郷を頼ってやってきた10歳の少年「尊(たける)」を主人公に、ある夏の彼の生活を描く。都会で心身不自由な兄と、男にだらしなく家に寄りつかない母と暮らしていた尊は、母の親戚に連れられ、母が大嫌いだった田舎へとやってきた。豊かな自然、素朴な人々、現実を超えた霊的な存在に触れ、尊は再生していく。児童文学、神話、近代小説、叙事詩……あらゆる形式を超えた奇蹟の物語です。
(群像2012年11月号掲載)

内容説明

か弱き者の上に、光は降りそそぐ。入り江と山に囲まれた土地で、10歳の少年が見出した「希望」の物語。芥川賞候補作。

著者等紹介

小野正嗣[オノマサツグ]
1970年、大分県生まれ。東京大学教養学部卒業。同大学院博士課程単位取得退学。パリ第八大学文学博士。2001年、「水に埋もれる墓」で朝日新人文学賞受賞。2002年、「にぎやかな湾に背負われた船」で三島由紀夫賞受賞。現在、明治学院大学文学部専任講師(現代フランス語圏文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

(C17H26O4)

86
優しい話の距離を取った文章が苦しい。現在が語られているようで、過去が語られているようで、時折り不意にメタ的視点からの仮定法過去完了のような。三人称で読んでいるのに一人称で読んでいるような感じもある。ネグレクトされて生きてきた小学生の尊の経験してきた諦めが、辛さが、卑屈さが、「大きなもの」に対し感じてきたありがたさが、苦しい。許されなくちゃならないことなど何ひとつないはずなのに。尊が海沿いの小さな集落の、窮屈なほどに狭い人間関係の中で「大きなもの」に救われて許されていく様は、温かい気持ちなる以上に苦しい。 2020/10/29

燃えつきた棒

34
主人公の尊の家は、母と知的障害の兄との三人世帯の母子家庭だ。 母は、《きらいだったのよ、大きらいだったのよ、あんなところからはとにかく早く出て行きたかったのよ。》と、故郷を飛び出した。 家すらも、あまり顧みない母。 だが、故郷を捨てた者にも、誰かは必要だ。 母にも情夫がいるが、暴力をふるう男だったり、所帯持ちだったり。 ある日、尊と兄の前から、母は去って行く。 尊は、もう母の顔さえよく思い出せない。2021/08/28

mm

27
ネグレクトを受けて育った尊と障害児の兄。兄と母はどうなったのかわからないんだけど、尊は母の生まれ故郷の知人の家で暮らすことになる。大分県の海辺の田舎の町で、母と関わりがあったらしい人々と半ば荒々しい自然に囲まれて、彼は大きなものとの繋がりを感じる。それは抱擁してくれる力とも言えるんだけど、単純な優しさとは違う。自然に、生命力に、信念に、しがらみに、過去に繋がる力である。尊がこの土地で力をもらえたのは、彼がこの時までに無償でいくつか保護された経験を持つからだろう。それがなくては人は誰とも繋がるすべがない。2019/06/11

kiho

15
言葉の端々に惹かれるものが…。母の故郷で暮らす主人公の少年のゆらゆらとしつつも瑞々しい毎日が、時に眩しく見える⭐傷つきながらも日々は流れゆく…他の登場人物も魅力的でした♪2015/07/28

肉尊

10
句読点のない詩のような。場面の移り変りがフェードイン/アウトしていくかのようで、まどろんだ世界観が味わい深い。田舎への帰省は「ぼくの夏休み」のようなおきまりのパターンがある。(田舎のガキ大将との確執、勇気を見せつけることで仲間入りさせてくれるとか、村の社など神域に触れるような異質の世界観)そういう共同幻想抜き。個人幻想のみで語られるため、好き嫌いがはっきり分かれる作家さんかも。イメージや感情から言葉を紡いでいく感じ。傷つけ傷ついてきた過去と、スパイスとしてのエロスが優しさを包み込んで生まれる印象でした。2021/02/11

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