金の仔牛

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062179447
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

ヨーロッパ三大バブルの一つといわれた「ミシシッピ計画」。追い剥ぎから身を起こした青年は、熱狂するパリの株相場を駆け抜けた!

18世紀初頭のパリ。追い剥ぎのアルノーは、襲撃した馬車に乗っていた老紳士・カトルメールに、逆に儲け話を持ちかけられる。王立銀行が所有するミシシッピ会社の株を利用すれば大儲けができるというものだ。アルノーは話に乗り、出資者を集める役を引き受ける。古着屋のルノーダンや泥棒の親方・ヴィクトールらから大金を預かり、カトルメールに渡す。条件は、出資金額に対してひと月後に1.5倍の額での返済。担保はアルノーの命だ。当初300リーブルほどで売り出され始めたミシシッピ株は翌月に1000リーブルを突破し、最初の返済は順調に履行される。株価はこれから4000、そしてその先に9000リーブルまで上がると期待され、相場は加熱していく。投資が投資を呼び、追い剥ぎだったアルノーも、いまや羽振りのいい青年実業家に。100万リーブルを稼いで、ルノーダンの娘・ニコルを嫁にもらうことを目標に掲げるのだった──。

【著者紹介】
1962年、新潟県生まれ。成城大学大学院修士課程修了。1999年から2005年まで早稲田大学文学部文芸専修で講師を務める。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞。2003年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年『ミノタウロス』で第29回吉川英治文学新人賞、および「本の雑誌が選ぶノンジャンルのベストテン」1位を受賞する。その他の著書に『醜聞の作法』『激しく、速やかな死』『小説のストラテジー』『雲雀』『鏡の影』『戦争の法』『モンティニーの狼男爵』『1809』などがある。

内容説明

18世紀初頭のパリ。追い剥ぎのアルノーは、襲撃した老紳士に逆に儲け話を持ちかけられる。ミシシッピ会社の株を利用すれば大儲けができるというのだ。アルノーは話に乗り、出資者集めを引き受ける。当初300リーブルほどだったミシシッピ株は翌月に1000リーブルを突破し、投資者への返済は順調に履行される。株価はこれから4000まで上がると期待され、相場は過熱していく。アルノーはいまや羽振りのいい青年実業家に。―それは、株取引という名の「ねずみ講」だった。ルイ王朝下、繁栄をむさぼる18世紀初頭のパリを活写した傑作長編。

著者等紹介

佐藤亜紀[サトウアキ]
1962年、新潟県生まれ。成城大学大学院修士課程修了。1999年から2005年まで早稲田大学文学部文芸専修で講師を務める。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞、2003年『天使』で芸術選奨新人賞、2007年『ミノタウロス』で第29回吉川英治文学新人賞、および「本の雑誌が選ぶノンジャンルのベストテン」1位を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南雲吾朗

60
追剥をしていた若者が株と言うシステムを行使し金を儲ける。話の大筋はそういう事だが、そこは佐藤氏の書く小説である、話の進行が非常に小気味良よくまた、登場人物も凄く粋でカッコいい。男女間の気持ち、親子の問題、地位・名誉・プライド、それら全てにお金が絡んでくると人間模様はより醜悪になってくる。人間の欲望とは凄まじいものだ。とにかく頭が良くなければ悪者にも成れない。否、頭が良いからこそ悪者に成れるのだろう。物語中ほどのアルノーとニコルが別々に株の売り買いをしてお金を稼ぐ個所では、凄く愛情を感じた。凄く面白い小説。2019/03/30

kochi

26
1719年。ルイ14世が莫大な負債を残し崩御して数年、パリは紙幣と株券が作り出す狂騒の中に。追い剥ぎを生業とするアルノーは、襲った相手、カトルメールの誘いに乗り株の世界に飛び込む。恋人のニコルに横恋慕した狂貴族オーヴィリエとの株の勝負を受けたアルノーは、ニコルの父(故買屋)や街の金貸し、顔役等の複雑に絡んだ思惑に翻弄される。18世紀フランスのミシシッピ•バブルと世相を見事に描いた佐藤亜紀の本書を読む時、「アベノミクスに踊らされている日本」に重ねるのは私だけ?2013/01/11

マウリツィウス

22
佐藤亜紀の金の仔牛とは偶像シンボルの明示でもその意味と価値とは異なる。何故ならその連続体の描写する怪奇シンボルとは金融性の断絶、すなわちテクスト読解における不可能を呈している。政治社会風刺を痛烈に含めた意図とは経済計算を剥奪したギリシャ文明論への明瞭批判だが、その合理化社会論において無力とされるのは偶像金融とは即ち古典偏在文明史を射抜く論拠にして強行暴挙、アトランダムに継承された旧約聖書史は古代ユダヤ教連環に属し西洋文明を反転させていく彼女の常套手段だ。伝説とは仮言説に過ぎず終焉とは初めを意味した異教。2013/05/22

紅はこべ

21
経済小説として今までに読んだ最高傑作。2013/12/07

俊介

18
面白かった。18世紀フランスの金融バブルの物語。単にバブルの話というより、登場人物たちが株価の上昇を見込んで交わす様々な「取引」が本作の見どころ。現代の「金融派生商品」を戯画化したものだとも言えるだろう。なので物語としてはやや複雑だが、細かいことなんかどうでも良くなるくらい軽やかな展開が楽しい。登場人物たちもみんな魅力的。主人公カップルのやんちゃぶりも好き。2021/10/21

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