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天平グレート・ジャーニー―遣唐使・平群広成の数奇な冒険

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  • サイズ A5判/ページ数 381p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062178648
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

8世紀に日本・唐・崑崙・渤海を見た男がいた! その名は平群広成。彼の数奇な冒険から東アジア世界の壮大な文化交流が浮かび上がる

【著者の言葉】
この物語は、期せずして運命の人となり、世界史上稀有の旅行者となった遣唐使判官・平群朝臣広成(生年不明~753)と正倉院宝物「全浅香」の奇縁を語る物語です。
物語を通じ、万葉びとの思惟の一斑を、また、8世紀のアジア世界の雄大さを、かすかながらにでも、感じ取ってもらえたならば――浅学の筆者これを無上の喜びとするしだいです。

【本書の内容】
天平5年(733)の遣唐使は数ある遣唐使のなかでも数奇な運命をたどったことで知られます。行きは東シナ海で嵐に遭い、なんとか4隻すべてが蘇州に到着できたものの、全員が長安入りすることはかないませんでした。それでも玄宗皇帝には拝謁でき、多くの人士を唐から招聘することにも成功、留学していた学生や僧も帰国の途につきました。
しかし……。
4隻の船のうち第1船だけが種子島に漂着、第2船は広州まで流し戻されて帰国は延期、第4船に至ってはその消息は杳として知れません。そして第3船。この船は、南方は崑崙(いまのベトナム)にまで流され、115人いた乗員は現地人の襲撃や風土病でほとんどが死亡、生き残ったのは4人だけだったと史書には記されています。そのひとりが本書の主人公、判官の平群広成なのです。
広成たちはたいへんな苦労の末に長安に戻り、さらに北方は渤海国を経て帰国します。そのとき広成はなぜか天下の名香「全浅香」を携えていたといいますが、それはなぜか?
若き遣唐使の目に世界はどう映じたのか? ふたたび日本の土を踏むまでに何があったのか? 阿倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、玄宗皇帝らオールスターキャストの学芸エンターテインメント。読んで損はさせません!

【著者紹介】
上野 誠(うえの・まこと)
1960年、福岡生まれ。国学院大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。博士(文学)。奈良大学文学部教授。万葉文化論を標榜し、ユニークな視点とソフトな語り口で人気上昇中の若手万葉研究者。MBSラジオ「上野誠の万葉歌ごよみ」やNHKラジオ「ないとえっせい」などにより、『万葉集』を学ぶことの楽しさを、多くの人びとに伝えている。
『古代日本の文芸空間』(雄山閣出版)、『大和三山の古代』(講談社現代新書)、『魂の古代学―問いつづける折口信夫』(新潮選書、第7回角川財団学芸賞受賞)、『万葉人の奈良』(新潮選書)、『万葉挽歌のこころ―夢と死の古代学』(角川学芸出版)など著書多数。また、近年執筆したオペラ脚本も好評を博す。

内容説明

天平五年(七三三)の遣唐使は数ある遣唐使のなかでも数奇な運命をたどったことで知られる。行きは東シナ海で嵐に遭い、四隻すべてがなんとか蘇州に到着できたものの、全員が長安入りすることはかなわなかった。それでも玄宗皇帝には拝謁でき、多くの人士を唐から招聘することにも成功、留学していた学生や僧も帰国の途についた。しかし…。第一船だけが種子島に漂着、第二船は広州まで流し戻されて帰国は延期、第四船に至ってはその消息は今日まで杳として知れない。そして第三船。この船は南方は崑崙(いまのベトナム)にまで流され、百十五人いた乗員は現地人の襲撃や風土病でほとんどが死亡、生き残ったのは四人だけだったと史書にある。そのひとりが本書の主人公、判官の平群広成である。広成たちはたいへんな苦労の末に長安に戻り、さらに北方は渤海国を経て帰国。そのとき広成はなぜか天下の名香「全浅香」を携えていたという。若き遣唐使の目に世界はどう映じたのか?ふたたび日本の土を踏むまでに何があったのか?阿倍仲麻呂、吉備真備、山上憶良、聖武天皇らオールスターキャストで描く学芸エンターテインメント。

著者等紹介

上野誠[ウエノマコト]
1960年、福岡県生まれ。国学院大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。現在、奈良大学文学部教授(国文学科)。博士(文学)。研究のテーマは、万葉挽歌の史的研究と、万葉文化論。第12回日本民俗学会研究奨励賞受賞。第15回上代文学会賞受賞。歴史学や考古学、民俗学を取り入れた万葉研究で、学界に新風を送っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

井月 奎(いづき けい)

40
下手な小説です。優れた万葉学者で洒脱なエッセイも得意とする上野誠の小説がこれほどぎごちないことに驚きます。それは一切の装飾を意識的に用いなかったからだと思います。著者はたぶん、もっと技巧的にうまい小説、美文を用いて流麗な小説を書くことはできたはずです。でも、しかしそれらを用いることは著者の畏敬の念に混じりものを入れることになるのでしょう。この物語は千有余年前に亡くなった祖先への鎮魂歌であり、その存在を私たちに知らしめる供養のための昔語りなのです。とても良い小説です。 2021/04/26

Book & Travel

27
前半は時間が掛かったが面白かった。遣唐使の中でも最も辛酸をなめたという判官・平群広成を主役に、命懸けの航海、異国での理不尽な出来事の連続、そして帰途に崑崙に流されて以降の苦悩が、実況中継のように淡々と詳細に描かれる。それに人物の真面目なのか冗談なのかわからないセリフが妙にマッチし、うまく表せないが可笑しみと感動を存分に味わえた。著者は万葉文化研究の国文学の教授。できるだけ史実に忠実に、史実にないところは想像して書かれたとのこと。阿倍仲麻呂をはじめ、主人公以外は皆一筋縄でいかないキャラクターなのも面白い。2015/11/13

№9

17
ゆったりとした、平坦な、不思議な感覚の語り口で、それがその時代の空気感かと思わせる、そんなムードが味わえたのが面白かった。遣唐使自体はそれは大変な冒険であったのかもしれないが、「言ってるほど」冒険的スリルが本編にあるわけでなくて、やはりもっと別の小説的味わい、それを楽しむ一編であると思った次第。2013/09/07

ミネ吉

14
10回目の遣唐使の判官・平群広成を主人公とする歴史小説。期待以上の面白さ。遣唐使の辿った軌跡が、出発の準備から帰国まで通してテンポよく描かれており、天平の時代の海外渡航がどのようなものであったかを疑似体験出来る。往路は笑い話も多く楽しい旅だが、帰路の遭難以降は悲壮。主人公の広成は、決して英雄ではなく、やや生真面目な普通の人として描かれており、感情移入しやすい。そんな広成が意図せず危険な旅をする羽目になり、ハラハラする。吉備真備や阿倍仲麻呂が、切れものだけどなんかイヤな奴なのも面白かった。2023/11/25

Kouro-hou

14
万葉研究の国文学者の先生の初小説だそうな。遣唐使の解説本も出している方なのでその辺の考証は信頼できるとして、小説としては少々ぎこちなく、ちょっと歴史教養小説っぽいです。主人公の平群(へぐり)広成さんは733年に遣唐使の判官として派遣され、帰りに乗った3番船が遭難&襲撃を受けて日本に生きて帰れたのは4人だけだった(1、2番船は何とか帰還、4番船は行方不明)という史実を膨らませた内容になっています。この遣唐使界の月見草に愛ゆえのスポットライトをあてた、脇役スピンアウト長篇的なノリは好きだったりします。2014/12/12

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