東京タワーが見えますか。

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  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062177597
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

古い取引先を裏切ってしまった銀行員に、働く喜びを与えたのは、町工場の技術力だった──経済不況下に元気が出る、経済小説短編集!

平成の初頭、銀行員の今井は、古い取引先の町工場「加藤金属」の加藤社長にマンションの建設を勧め、工場をやめてマンションのオーナーの座に就かせることに成功する。自分の実家も同じ町工場であることを説得に利用した。だが、マンション経営はすぐに傾き、今井は社長に競売にかけることを宣告しなければならなくなる。「東京タワーって優しい気持ちのときには鮮やかに見えるのです」。社長は怒りを抑えて呟いた。言葉が、今井の荒んだ心に沁み入る。人を幸せにするために仕事をしていたはずなのに、いつの間にか不幸にしてしまった。それから今井は銀行を辞め、父の工場を継ぐことにした。父のプレス加工技術が、世界に通じる本物であることが、工場に入ってからわかった。世間では金融不況が本格化し、銀行が相次いで破綻。今井がいた銀行も総会屋に対する不正融資で家宅捜索となった。いまこのとき、いったい誰の目に東京タワーが見えているのだろうか。──表題作「東京タワーが見えますか。」ほか「ある男の人生」「大過なく」「座敷わらし」「爺捨て山騒動記」「まだまだ」「マラソン先生」の7編を収録する、サラリーマンの悲哀をそこはかとなく描いた経済小説短編集。

内容説明

銀行員の今井は、取引先の町工場の社長にマンション経営を勧め、オーナーの座に就かせた。だが、経営はすぐに傾き、マンションは競売にかけられることに。人を幸せにするために仕事をしていたはずなのに、いつの間にか不幸にしてしまった。「東京タワーって優しい気持ちのときには鮮やかに見えるのです。」社長の言葉が、今井の荒んだ心に沁みる。―表題作ほか5編を収録。

著者等紹介

江上剛[エガミゴウ]
1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政経学部卒。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行し、広報部長、築地支店長などを歴任。経営の中枢の一端を担った。築地支店長在任中の2002年、『非情銀行』で小説家としてデビュー。その後、退職し、作家活動に専念する。豊富な知識と新しい視点で、経済小説に新風を巻き起こすとともに、近年、幅広いジャンルの作品を手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ユザキ部長

76
最近江上剛さん銀行ものの本ばかり読んでる。銀行などお金を扱う仕事は人々の生活の本質を見出だす気がするから。今作は短編だが、よくよく人々の思いを書かれてる。2018/11/08

Tsuyoshi

69
サラリーマンの生き様を描いた6編の短編集。特に二作目「ある男の人生」が印象的。会社の起こした不祥事で仕事も家族も失った男が新天地で得た人間らしい生活と希望溢れる展開にはかなりウルッときたのにまさかの結末に唖然とさせられた。6編を通して働く事に対する様々な価値観が垣間見れてなかなか面白かった。2018/05/18

ジュール リブレ

12
50'sの悲しさを捉えた一冊。オヤジさんたちも、ただ老け込んでいるだけじゃなくて、いろいろ抱えて生きている、、、そんな短編。2013/07/21

れお

10
初読み作家さんだけど、働く事の意味や、職場の人間関係は大事だと思った。短編集なので次は長編を読んでみたい。「座敷わらし」が好き。2016/02/19

しじみ

8
50音チャレンジ4冊目。地元の図書館の「え」のラインナップが少なすぎて困りながら、全くお名前も知らなかった方の本を手にとってみましたが、するるんと軽く読めて面白かったです。経済小説を書いている方のようですが、この本はそこまで重くも堅くもなく、どんでん返しもありの短編集でした。ほっこりかと思ったらゾッとさせられたり、深読みしすぎてひねくれたエンドを予想してたら普通にハッピーエンドだったり(笑)やはり、普段手に取らない作家さんの本を読んでみるのも面白いですね(^o^)2015/06/14

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