遍路みち

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  • サイズ B6判/ページ数 199p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062160988
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

人生の大きな別れと哀しみを綴った作品集。
夫を喪った作家の胸に残る様々な記憶が鮮やかに蘇り、今、後悔となって自らを責め続ける。吉村昭氏が亡くなる前後に書かれた4つの短篇と、他2篇を収録。

内容説明

楽しいことも嬉しいこともあったはずなのに…悔いのみを抱いて生きてゆく遍路みち―夫・吉村昭氏の死から三年あまり、生き残ったものの悲しみを描く最新小説集。

著者等紹介

津村節子[ツムラセツコ]
1928年6月福井市生れ。39年東京へ転居。41年東京府立第五高女入学、47年ドレスメーカー女学院に入学、51年学習院短大国文科に入学。53年吉村昭と結婚。64年「さい果て」で新潮同人雑誌賞、65年「玩具」で芥川賞、90年「流星雨」で女流文学賞、98年「智恵子飛ぶ」で芸術選奨文部大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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わっぱっぱ

11
別れを受諾するのは辛い。愛情の深さはそのまま悔いの深さとなって、妻(著者)を苛む。凛と佇まう文章から滲み出る心の動揺が、もう会えぬ人を恋うる気持ちが切々と響いて胸が苦しかった。これほどの愛情で結ばれた夫婦の姿を、さもしくも羨んでしまった事は内緒だ。それにしても、自らについて書き綴るというのは、容易ならざる覚悟、辛さを伴うことだろう。作家の業というものに思いを巡らした。2016/04/26

くろうさぎ

7
図書館本…。タイトルに惹かれて読み始めたもののご主人をなくされて、ただただ悲しみと後悔に溢れる文章に亡くなった祖母のことを思い出して、一気に読むことができませんでした。「遍路みち」では昨年、妹と福岡の篠栗八十八ヶ所を一週間かけて歩き遍路でまわった時のことも思い出し、病気平癒を願い、ひたすら歩いてきつかったのだけれど、ああやって自分と向き合ってゆっくりと考える時間も大切なのだと思います。津村さんが自分のことを書くのは職業とはいえ、お辛かったでしょうが、文面から伝わってくる夫婦愛は素晴らしかったです。2017/03/21

kiho

7
夫である吉村さんへの思い、振り返っての悔い=愛情の深さが、強烈に迫ってくる☆書く仕事と妻としての役目…どちらも大事にしてきた津村さんであっても、迷い、悩みが尽きなかった様子が、淡々と運ぶ文章から余計に伝わってくる。真摯さが迫る作品…。2014/03/08

硯浦由咲

5
吉村さんが亡くなってから書かれた小説やエッセイ、あと対談などを読んでいて思うこと。私は結婚はしていないので夫を亡くすという経験はないし、人の気持ちに軽く「分かる」というのはどうかと思うけど、「ああ、分かるなぁ」と思ってしまう部分がある。親しい人を亡くした時に思う詫びたい気持ちは苦しい。津村さんの作品でもそうだけど、他人には「そんなに自分を責めないで」と思うけど、自分のことは「いや、それよりひどいことしたから私は」と思ってしまう。この苦しみはいつまで続くんだろ?って思うけど、多分仕方のないことなんだろう。2015/11/14

山男777

5
作家氏の夫は吉村昭氏長年連れ添い、世に出る初期の頃。東北、北海道と食を求めて放浪。苦楽を共にもういいのではと思うが。春夏秋冬幾星霜培った情念は断ち切ることはできない。誰しもやがて訪れることだが。2014/09/24

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