出版社内容情報
訳あり美男・清四郎のよろず相談所は大繁盛。
平次の濡れ衣を無事払った清四郎に次なる難題が立ちはだかり、と同時に清四郎の過去も暴かれていく。美男・清四郎よろず屋稼業の日々。
内容説明
未練だな―元南町奉行所内与力筆頭・杜清四郎―根津権現近くで「よろず相談所」を開く清四郎は、自ら望んで、今こうしている、はずだった。「おふみの簪」「正直与兵衛」「お染観音」―次々と舞い込む事件を解くうちに明らかになる、その過去が、清四郎の秘密と苦悩を浮き彫りにしていく。気鋭の時代小説作家の渾身作。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
1966年、東京都生まれ。明星大学人文学部英語英文学科卒。会社勤務の傍ら、インターネット上で時代小説を発表。2007年、「色には出でじ 風に牽牛」(『花合せ』講談社刊)で第2回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
51
「甘いもんでもおひとつ」から、田牧さんはお気に入りの作家さんですが、それでも「身をつくし」は、高田郁さんの専売特許と思っていたい高田ファンなので、題名だけが違和感。 実直で誠実なイケメン清四郎さんが、根津の片隅で商うよろづ屋。 持ち込まれる厄介ごと3編。 「おふみの簪」「正直与兵衛」がほのぼのとしていてよかったです。2014/11/22
藤枝梅安
49
3編からなる連作短編集。訳あって武士を捨て町人となった清四郎は根津でよろづ屋を営みつつ、持ち込まれる事件をかつての人脈を利用して解決に導く。いずれの事件も市井に生きる人々の優しさと弱さが根底にある。事件解決とともに、清四郎の過去が次第にあぶり出しのように読者に見えてくる。木暮という同心が登場する。どこかで見たような気がしたのだが、あさのあつこさんの「弥勒の月」シリーズ。「弥勒の月」では木暮信次郎と清之助。この作品では木暮涼吾と清四郎、ちょっとカブっている。内容もどこか通ずるところがある。2011/04/12
ゆみねこ
46
よろづ屋清四郎、元南町奉行所筆頭与力の彼の元に持ち込まれる様々な困りごと。これ、シリーズ化希望です。田牧さん、期待を裏切らない面白さ!2014/03/04
藤枝梅安
36
ちなみに「身をつくし」というタイトルも、高田郁さんの人気シリーズのタイトルを連想させる。町人になっても武士時代を捨てきれない、というのは葉室麟さんの小説を思い出す。最近人気の時代小説のエッセンスを集めて、わかりやすい作品に仕上げてある。2011/04/12
フキノトウ
33
ワケありの清四郎にもたらされる、相談事の一つ一つが切なかったり、つい微笑んでしまう位温かかったりして、話の最後の方は毎回涙ぐんでしまった。正直者与兵衛では、必死に清四郎に言われた通りに振る舞おうとする与兵衛の愛嬌溢れる人柄にほっこりしました。2014/06/01