骸骨ビルの庭〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 282p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062155328
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

育ての親、阿部轍正は、子供たちの一人、桐田夏美への性的暴行の汚名を着たまま、苦悩のうちに死んだ。真相を求めて、八木沢は夏美の行方を追う。過去の謎が謎を呼び、秘密は深まる。一方、八木沢はビルにもう一度畑を甦らせようと一人耕し始める。そして、小さな命が蕾をつけるとき、骸骨ビルの本当の意味が明らかになる。自分は何のために、そして、誰のために、生きているのか?心の奥底から溢れ出す人間への讃歌。すべての生きとし生けるものへ贈る感動の長篇小説。

著者等紹介

宮本輝[ミヤモトテル]
1947年兵庫県神戸市生まれ。追手門学院大学文学部卒業。’77年『泥の河』で太宰治賞、’78年『螢川』で芥川賞、’87年『優駿』で吉川英治文学賞を受賞。2004年には『約束の冬』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

48
さすが宮本輝。内容が深いし、読んだ時の物語の雰囲気で読まされてしまう。いい本だと思います。大好きな作家さんの一人です。 2016/03/02

B-Beat

47
◎結末は決して驚愕するようなものではないけれど、それまでにこの本のテーマともいうべきものが十分に心にしみていてもう一度「上」から読み直したくなった。図書館本ゆえ自分の子供にも読むことを薦めるべくいずれ文庫本でも手に入れてまた読み直そうと。特に印象に残るのは「人間が抱く嫉妬で最も暗くて陰湿なのが対象となる人間の正しさや立派さに対してのもの。本人が嫉妬だということに気づきにくい」とのくだり。有能で稀有なひとりの政治家を貶めている現在日本の政治状況を解き明かすひとつのキーのように思えてならなかった。2012/05/27

美雀(みすず)

40
阿部の桐田夏美に対する性的暴行はでっち上げだと分かってるのにそれでも謝罪に来ないのは皆に合わせる顔がないからだと思いました。ヤギショウさんも途中で自分の役目ではないと思っているだろうし…。解決を望んでいるのではなく、一目見たかったから。夏美は今でも阿部さんと茂木さんに感謝してると思いたいです。2013/12/20

マリリン

35
私がこれまで読んできた宮本輝さんの作品は食文化や伝統の「ホンモノの良さ」を追求したものでしたが、この小説は人間の生き様や可能性を提起したものでした。印象に残った言葉は「優れた師を持たない人生には無為な徒労が待っている。なぜなら、絶えず揺れ動く我儘で横着で臆病で傲慢な我が心を師とするしかないからだ。」です。自分が周りの人の役に立ち、また周りによって自分は生かされている事を忘れずに、色んな感動に出会い心豊かに過せたらいいなと思いました。2012/12/13

るい

31
骸骨ビルってあれかしら?と流転の海中毒の私は飛び付いたけれど、違ってた。 かつてGHQの堅牢な建物の中で育った子どもたち、それぞれが確固たる魅力的なキャラを確立していてそれを見守る大きな人間、気付けば主人公と共に波に呑み込まれていた。 宮本輝さんは、白か黒ではなく、グレーのまま終わる物語が多いけれど不思議な心地よさの読後感。また再読するだろうな。2019/09/24

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