• ポイントキャンペーン

ボルドーの義兄

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062153614
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

著者等紹介

多和田葉子[タワダヨウコ]
小説家、詩人。1960年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。ハンブルク大学大学院修士課程修了。文学博士(チューリッヒ大学)。1982年よりハンブルグに在住し、日本語ドイツ語両言語で作品を手がける。現在ベルリン在住。1991年『かかとを失くして』で群像新人文学賞、1993年『犬婿入り』で芥川賞を受賞する。1996年、ドイツ語での文学活動に対しシャミッソー文学賞を受賞。泉鏡花文学賞(『ヒナギクのお茶の場合』)、Bunkamuraドゥマゴ文学賞(『球形時間』)、谷崎潤一郎賞・伊藤整文学賞(『容疑者の夜行列車』)など受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

184
奇妙な味わいの小説。一見したところ難解そうには見えないところが、また曲者。作中に2000人のための小説というのが出てくるが、まさにそのような小説だ。小説から物語性や、登場人物の性格付けなどの夾雑物を一切取り払ったような小説といえばいいだろうか。そして、フローベールが庶幾した方法と可能性を極限にまで試みた小説でもあるだろう。また、言葉を文字を解体していく手法は、絵画におけるピカソの「アヴィニョンの女たち」にも例えられようか。そうした言葉の解体は、関係性の、そして個の確かさの解体を表象するのだろう。2014/10/02

どんぐり

92
ハンブルグのオフィスで週2日バイトをし、大学で週に3日ドイツ語の語学講座に参加する主人公の優奈(若き日のこの作家が投影されているようだ)。友人レナの義兄の家を借りるためにボルドーを訪れる。その間の出来事に漢字一つを割り当て、「あたしの身に起こったこと」として記録する。その漢字は鏡文字で示され、言語の不思議なチカラ(力)と、文学の美しいタクラミ(企)で、これまで見たことのないカタチ(形)の小説が現れる。この小説は、ストーリーを無理に追おうとすると、言葉の森の中に迷い込んで読み終えるにちがいない。2023/08/28

KAZOO

51
多和田さんの本は、随筆以外はあまり読んでいないのですが、これは実験小説のようなまたは随想のような感じを受けました。漢字を裏返しにしてそこに関連する出来事などを短い文章でつづっています。一度読んだだけでは裏返しの文字が気になって頭の中でまとまりがつかないので、それを除いてもう一度読んでみようと思いました。2015/04/14

*maru*

39
多和田作品4冊目。言葉の力。小説の新しい形。文字の美しいタクラミ。一つの漢字をトキホグス。著者の作品には毎回驚かされる。新たな発見に興奮し、その表現力に感嘆し、至福の余韻に心震わせる。漢字とは奥ゆかしく力強い。優奈の“出来事メモ”のタイトルはすべて鏡文字で書かれた漢字一文字。反転するだけで見慣れた文字は異国の言葉のようによそよそしい。しかし、その姿は嫉妬するほど誇らしくて美しいのだ。言葉を愛する多和田さんらしいこの企みは、文字だけでなく読み手の心をも解きほぐす。2018/03/23

take0

31
短い断章形式の冒頭に章題のように付された鏡文字で表された漢字。作中で主人公・優奈が日常の出来事を漢字一字で記録するという習慣に因っているのだろう一文字の漢字は、反転していることで違和感を持ちながらも読むことが出来、意味を解し、その状態に慣らされていく内に、今度は次第に普通に記されている本文の文字に対しても見慣れぬものであるように思えてくる。言葉遊びや言語的なズレや齟齬、異化作用を捉え続ける多和田さんらしい知略。2019/03/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/552843
  • ご注意事項