元職員

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  • サイズ B6判/ページ数 166p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062150927
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

514円が全ての始まりだった。
娼婦、妻、友人、嘘、欲、ホテル、アユタヤ、ムエタイ、仕事・・・目の前を横切るあらゆる光景が危険な結末へと導いていく。ある秘密を抱えた男がバンコクの夜に見たものとは?

内容説明

栃木県の公社職員・片桐は、タイのバンコクを訪れる。そこで武志という若い男に出会い、ミントと名乗る美しい娼婦を紹介される。ある秘密を抱えた男がバンコクの夜に見たものとは。

著者等紹介

吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年「最後の息子」で第84回文學界新人賞、2002年『パレード』で第15回山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で第127回芥川賞、2007年『悪人』で第34回大佛次郎賞、第61回毎日出版文化賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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おくちゃん🌸柳緑花紅

98
バンコクの纏わりつくような熱気。知り合った現地で働く日本人の青年から紹介された娼婦のミントと巡るワットマハタート寺院跡の菩提樹の根に埋め込まれた仏頭。つい口に出た祈りの言葉は「許して下さい」腕の震え。会計課に新しい人が来る。全ては514円から始まった。バレない使い込み。妻。嘘。日本人旅行客の男性の不遜な声。栃木県の公社職員の彼が、「元職員」と呼ばれるまでのカウントダウンはもう始まっている。吉田修一さんの犯罪文学にめり込んで読了。2022/02/03

chimako

90
バンコクのまとわりつくような熱と人の底に横たわる冷覚めた眼差し。暑いのに足下から冷えてくる。横領した大金で豪遊しながら、怯え苛立ち諦めながらも危機感は遠く、浮かれたように過ごす異国の非日常。彼が「元職員」になるかいなかは明かされないが、横領の発覚は時間の問題だと思われる。地味な職場の真面目な男が転げ落ちていくきっかけは「たった500円」だが、そこで彼が捨てたものは淡々と平坦に生きる毎日。箍がはずれる瞬間を見た。人は浅はかで愚か。身を売ることで生計を立てる女性の必死が切ない。何が是で何が否か。 2022/01/17

hit4papa

82
バンコクを訪れた主人公は、そこで出会った日本人青年から、美しい娼婦を紹介されます。べたつく熱気の中、ワケあり主人公と娼婦の乾いた交情が描かれた作品ですが、安易な友情や恋愛物語に昇華しないのが吉田修一流でしょうか。アジアの旅で感じる、かの地からも見た日本人に対する突き刺さるような冷ややかな視線が、細やかな動作の中に上手く表現されています。すったもんだの挙句、これまでの出来事にツバを吐きかけるような、独特の歪みが印象的です。まったく好感の持てない主人公ですが、ラストの高笑いは、痛快ですらあります。2016/12/05

nikoniko313jp

55
514円が余ったことから始まった そこから万単位になり 数十万 百万単位になり 押し入れに 千万のお金、、、 怖い。夫婦関係も お金が入ってきて迷いなしで洋服 バックが買える環境はたまらない感じがするけれど その出所が横領では、、、、奥さんも早い段階で気が付いたけど知りたくない 受け入れられないでしょうね、、、、。現実逃避でバンコクへ行きお楽しみありで、、、、 実際の横領の人ってこんな感じなのかなぁとおもいつつ読みました。2016/08/21

チアモン

54
うーん。この本の感想はどう書けばいいんだろう。公金の使い込みから、主人公の堕ちていく姿。リアルであったけれど、あまり気持ちのいいラストではなかった。人間はこんなに弱いものなのかなぁ。ここまで追いつめられたことがないから分からないのか?こんな悪いことはするもんじゃない。2018/11/10

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