フォトグラフール

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  • サイズ B6判/ページ数 227p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784062145176
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

写真。嘘が溢れる世の中で唯一信じられるもの。
町田康×Photograph
一葉の写真が映し出す世界

まあ、はっきり言ってみんな羨ましがる。いいなあ、なんて言う。でも山羊で人間の手なんていいことはひとつもない。というか面倒くさいことだらけだ。なにが面倒くさいかと言って、日に何度も手を洗わなければならないのがもっとも面倒くさい。通常の山羊の手であれば、地面についていてもなんとも思わない。でもなまじ人間の手をしているものだから、手が泥だらけになっているとなんとなく気分がすっきりしないし、爪の先が黒いのもみっともないと思うから手を洗う。しかし、手は人間でも身体は山羊だからどうしても手をつかないでいることはできない。だから日に何度も手を洗うことになるんだね、これが面倒くさい。あと煩わしいのは、山羊仲間に、僕が指輪をしたり腕時計をしたりして人間ぶっていい気になっている、と批判する者があるということで、いいじゃないかそれくらい。指輪はファンの子に貰ったから嵌めているだけだし、時計は餌の時間とか分かって便利だからしているだけで別に人間ぶっている訳ではない。なのにそんなことをいう山羊がいるというのは悲しいことだと思っていたら、あいつらが来たので塀に手をかけて夕日を見る振りをして鹿十した。山羊十した。……<本文より。山羊談>

町田 康[マチダ コウ]
著・文・その他

内容説明

町田康×Photograph、一枚の写真が映し出す世界。

目次

弁明相撲
悲しい夜
応援団
ちゅうちゅうちゅう
秘密芸人
鯛鱈芳司君
ロカビリー
何が望みだ?
えーかげんにせい
武蔵坊弁慶〔ほか〕

著者等紹介

町田康[マチダコウ]
1962年大阪府生まれ。作家、歌手、詩人として活躍。96年に発表した処女小説『くっすん大黒』でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞、2000年『きれぎれ』で芥川賞、2001年『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞、2005年『告白』で谷崎潤一郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おいしゃん

91
一本取られた!手に取る時に流し読みして、ああ町田さんのエッセイ集なのかーと思い借りる。前書きには、写真は嘘をつかない、とあり完全に写真付きエッセイであると思い込み読み始めたが…なんだか写真が怪しい。いくつか読んで、ようやく仕掛けとタイトルの意味がわかった。2016/03/14

ペグ

74
抱腹絶倒の、面白くて可笑しいショートストーリー集。一枚の写真からこんな与太話を創る町田さん!あなたはやっぱり(嘘の嫌いな)立派な小説家ですね。人間テーマはシニカルなスパイスが効いていて読む人を選ぶかもしれないけど、動物ネタはもう大笑い‼︎笑いって各人各様さまざまだから可笑しがれるかどうか判らないけど、どうぞ、電車の中とかカフェとかで読むことは避けたほうがよろしいかと思います。老婆心〜? 2018/11/11

Yusuke Oga

21
「イエイイエイイエイイエイイエイイエイ家居。」「毎度ヘンリーです。」の埠頭で独りで爆笑している無職のおっさんがイイ。2014/10/06

miroku

19
写真につけたキャプチャーにユーモアとペーソスを込めて、さらに町田康の妙なエッセンスを混ぜ込むとこうなる。2013/10/27

まろまろ

17
表紙は迫力の山羊、人間にはとても出せないせつない表情がたまらない。こんな写真に独自の解説を当てはめた・・・いやもしかして真実かもしれない衝撃作。古き良き意味不明な写真が10倍位輝きを増す。何事も斜めから眺める町田さんの姿勢は、ちまたの小さな悩みなど吹き飛ばしてくれそうだ。町田パワー、バンザイ!2014/03/20

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