出版社内容情報
「これは私の集大成です」――恩田陸
あなたは水無月橋について考えている。これから行くその場所、殺人現場であるその橋のことを。バス停に捨てられていた地図には、赤い矢印が付いていた。まさにこれからあなたが行こうとしている、水無月橋のあるところに。印の付いていた場所で死体が見つかったことで、人々は想像をたくましくした。――<第1章より>
内容説明
塔と水路がある町のはずれ、「水無月橋」で見つかった死体。一年前に失踪したはずの男は、なぜここで殺されたのか?誰も予想できない結末が待っている!!恩田陸が紡ぐ、静かで驚きに満ちた世界。
著者等紹介
恩田陸[オンダリク]
1964年宮城県生まれ。早稲田大学卒業。91年の第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞と第2回本屋大賞、06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞、07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞受賞。ホラー、ミステリ、ファンタジー、SFのジャンルにまたがり、独自の物語世界を築いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
128
失踪していた男が死体で見つかった謎。恩田さんらしい雰囲気はイイが、オチも恩田さんらしくええ~って感じ。2017/01/12
遥かなる想い
113
恩田陸の世界で進む 不可思議な物語である。 殺人事件の謎よりも、一体どこに向かおうと しているのかという気持ちの方が先走る。 得体の知れない登場人物の続出に少し混乱する…動機も 経緯も よく分からず、 はぐらかされたという印象が強い… 雄大な 仕掛けだとは思うが、よくわからない 恩田陸の世界だった。2022/07/17
財布にジャック
97
序盤はかなり好きなタイプのお話だと引き込まれました。どんどんと登場人物が増えて、視点が変わるたびに、謎が深まって、どうなるのか途中で読むのを止められないタイプのミステリーです。しかし、恩田さんの作品に共通して言えることなんですが、オチがそれまでの前半の良さに比べて、無理があるかなぁというのが正直なところです。そして、震災後に読んだせいか、ちょっと描写が引っかかるところもあり、別の時期に読めば良かったかなぁと後悔しました。でも、恩田さんの作品はこれからもず~っと読み続けたいです。2011/05/02
PSV
72
TBS(とんでもない・ボンクラ・小説、の略)。でも、嫌いじゃないぜ、このテイスト。むしろ好きだぜ、大風呂敷の広げすぎ。これぞ恩田陸、これぞボンクラSFの名手。是非とも、これに直木賞をあげたかった(無理) ★★★★☆2012/07/16
藤月はな(灯れ松明の火)
61
再読です。一人の男の死を巡る物語なのですが真相はあっけにとられること、間違いなしです。村上春樹作品のような物語でもあります。人々は男の死に物語や関係性を見出そうとしますが徒労でしかなく、目の前の大きな謎には気づかない。そして望む生活もどこにもなく、目の前にある生活を歩むだけだという事実も。実際、会ったこともない家族や人が自分のことを死んだ後も詮索するのはすっぱり、忘れてほしいのに個人的には嫌です。私にとっては歩道に一個だけ、置かれていた蜜柑(実際、私の住んでいる近所で見かけた)などの謎の方が気になります。2011/11/26