• ポイントキャンペーン

ハルビン駅へ―日露中・交錯するロシア満洲の近代史

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 444p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062139984
  • NDC分類 222.53
  • Cコード C0022

出版社内容情報

東清鉄道の建設から日露戦争へ。ハルビンの波瀾の歴史を描く加藤陽子さん絶讃の名著。「ロシアにとっての『坂の上の雲』が今ここに」

満洲の中心都市・ハルビン。多くの日本人にとっては、伊藤博文が暗殺された都市として記憶されますが、それだけではありません。日本、ロシア、中国を中心に、波瀾の近代史を繰り広げた舞台でもあります。
始まりは、ロシアのアジア進出にあります。ロシアは東清鉄道を建設し、アジアの不凍港まで鉄道を開通させねばならなかった。その調査の過程で発見されたハルビンは、やがて東清鉄道建設の基地となり、ロシアの植民地となります。
ロシアの名物蔵相ウイッテの思惑、軍と鉄道会社の利害対立など、ハルビンの発見から植民、そして繁栄と混乱の社会と歴史が綿密に描き出されます。いわば、ヨーロッパとアジアの思惑、国際関係のるつぼとして、ハルビンはあったのです。
そこでは、中国人、日本人のみならず、ユダヤ人のコミュニティも形成され、「最も自由な国際都市」という側面もそなえてゆきます。
しかしながら、歴史は、このリベラルな都市を、そのまま許すことはありません。やがて日露戦争に突入。そして、中国による奪還と歴史はうねっていきます。
そうでありながら、では、鉄道建設で栄えたハルビンはなぜ、リベラルな国際都市の可能性を持つことができたのか。
本書は、ロシア側の未公開資料など、貴重な史料を広汎に発掘し、壮大なスケールで描く、満洲の近代史です。

加藤陽子(東大教授)さんが、「ロシアにとっての『坂の上の雲』が今ここに」と大絶讃! まれに見る本格歴史書を、堪能してください。

まえがき ハルビン前史――日露善隣の長い十九世紀
第一章 それは鉄道からはじまった
第二章 日常的な省庁間の争い
第三章 満洲植民――政策、成果、反応
第四章 戦争、革命、政治―― 一九〇四年から一九〇八年のハルビン
第五章 彼ヲ知リ己ヲ知ラバ――国境地域のロシア東洋学
あとがき ハルビンと日本――残照の中の輝き

【著者紹介】
1960年ニューヨーク生まれ。ハーバード大学ロシア・フランス歴史・文学科卒。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得(歴史学・政治学)
プリンストン大学で教鞭をとった後、ウッドロー・ウィルソン研究所国際冷戦史プロジェクトのディレクター・上級研究員を務める。2006年より、北海道大学スラブ研究センター教授。
専攻は、ロシア史、北東アジアの国際関係史。
主な著書に、To the Harbin Station ;The Liberal Alternative in Russian Manchuria,1898-1914(本書),Rediscovering Russia in Asia:Siberia snd the Russian Far East,共著に、The Russo-Japanese War in Global Perspective:World War Zeroなどがある。日本語訳された論文も多数。

目次

まえがき ハルビン前史―日露善隣の長い十九世紀
第1章 それは鉄道からはじまった
第2章 日常的な省庁間の争い
第3章 満洲植民―政策、成果、反応
第4章 戦争、革命、政治―一九〇四年から一九〇八年のハルビン
第5章 彼ヲ知リ己ヲ知ラバ―国境地域のロシア東洋学
補論 ロシア中国学の系譜―北京、カザン、ペテルブルグ、ウラジオストク(一七一五年~一八九九年)
あとがき ハルビンと日本―残照の中の輝き

著者等紹介

ウルフ,ディビッド[ウルフ,ディビッド] [Wolff,David]
1960年、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学ロシア・フランス歴史・文学科卒。カリフォルニア大学バークレー校にて博士号取得(歴史学・政治学)。プリンストン大学で教鞭をとった後、ウッドロー・ウィルソン研究所国際冷戦史プロジェクトのディレクター・上級研究員を務める。2006年より北海道大学スラブ研究センター教授。ロシア史、北東アジアの国際関係史を専門とする

半谷史郎[ハンヤシロウ]
1968年、愛知県生まれ。大阪外国語大学ロシア語科卒。ラヂオプレス勤務を経て、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在は、愛知県立大学外国語学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

86
東清鉄道が松花江をまたぐ予定地のそばに、ロシアの技師がつくった街―ハルビン。19世紀末に始まる建設から日露戦争、ロシア革命・シベリア出兵を経て満州事変へと進む新興の植民都市を巡る日露中三カ国の角逐を、ロシア側からの視点で描く。日本の姿は遠い。日本が国の存亡をかけた戦争も遠くの土地での戦闘のよう。勢力拡張を押し留められたに過ぎない。ハルビン統治・経営は、軍と大蔵省・東清鉄道間などの省庁間の利権争いに翻弄されるも、帝政圧政下のロシア本国よりリベラルな雰囲気の下、街は活気あふれる多民族の大都会へと発展する。2021/05/24

榊原 香織

68
19世紀、ロシア植民地としてのハルビン。 まるでアナール学派のように、細々したことをたっぷり記述。 鉄道敷設から街の発展の歴史。 東洋学院、という外語学校の存在に注目。中国語、日本語、朝鮮語、満州語、モンゴル語、英語 街自体がキメラのような。 日本時代は巻末にちらっと。2022/05/21

むっち

6
図書館からの借り入れ一回で読み切れずもう一巡した後に読了。脚注まで目を通せばもっといろいろ読めるのでしょうが、満州国の都市、ハルビンが日本の満州の都市となる前にロシアの帝政時代の官僚対立の中で、今でいえばアメリカ的な、経済活動の自由による経済政策優先のゆえに、宗教的、民族的、人種的自由が許容されたきわめて開明的な都市であり、なぜそうなったのかという背景がロシア側の視点から読める歴史ドキュメント。日本の五族協和という政策より先にハルビンにはロシア正教の異端者や、ユダヤ教徒が集まり、漢民族や満州民族の経済活動2015/03/21

ポルターガイスト

3
ロシア帝国の植民都市ハルビンは複雑な条件のもと日中露などさまざまな民族と文化が混淆する奇跡のリベラル退廃都市だったが三帝国のナショナリズムの高まりによりその繁栄は悲劇的な結末を迎える。という絶対面白いはずの魅力溢れる切り口・あらすじを一般人向けに下手に料理して台無しにした印象。論文なのか読み物なのか判然とせず目次の立て方やテーマの絞り方が散漫で専門的すぎる。大局的な視点との接続や時系列的な整理もない。しかし歴史学とは本来こういうもので自分が理解していないだけかも。2017/09/27

rubeluso

3
ロシア人によって建設され、日本の傀儡政権に組み込まれ、また現在中国人の都市となった「ハルビン」の草創期、ロシア時代を描く本。学術的な視角としては植民地研究及びロシアの外国理解に拠っていると言えるだろうか。戦略目的を持って一から作り出された都市は植民元の本国や地元人、勢力伸長を狙う隣国との間の奇跡的なバランスで「リベラル」な自由さを誇っていた。日本人には馴染み深い「ハルピン」の前史や、帝政ロシア末期の外交について知るにはこの上ない1冊だと思う2017/08/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8192568
  • ご注意事項