腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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  • サイズ B6判/ページ数 183p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062129985
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて、殺したくなるほど憎憎しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行。

著者等紹介

本谷有希子[モトヤユキコ]
1979年石川県生まれ。小説家、劇作家。高校卒業後上京、2000年に「劇団、本谷有希子」を旗揚げ、作・演出・主宰。第七回公演「石川県伍参市」の上演台本は第四八回岸田国士戯曲賞候補に。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は劇団の第一回公演の演目を大幅に改稿した小説。第一八回三島由紀夫賞候補。本年4月より、深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』金曜日のパーソナリティ
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おかだ

54
面白かった。ブラックなユーモアを織り交ぜつつ、病的な家庭の綻びを露呈していく。最初は独特の空気感に苦戦したけど、登場人物の強烈な個性に引っ張られて中盤からは一気読み。姉のキャラ、自己愛爆発の狂気が凄い。身近にいたらたまらないけど、なんか強烈に惹かれる部分もある。自分が何者かになれると真っ直ぐに信じる潔さ…っていうか頭のおかしさ。周囲を汚染するような病的なエネルギー。嫌なんだけど目が離せない。その点では妹(こっちもなかなかの歪みっぷり)の気持ちがほんの少し分かるような。燃え立つようなパワーを感じた作品。2018/03/22

おさむ

49
三島由紀夫賞ノミネート。これ、たしかサトエリ主演で映画になってましたよね。ここまで暗くて、救いようのないお話しをよく映画に出来たなあ、というのが正直な感想。本谷さんのダークな側面が全開の作品で、徹底した自意識過剰さは太宰治的でもあります。うーん、でもちょっと苦手かな。2016/02/08

空猫

32
表紙絵があのエロ漫画家山本直樹サンで、『生きてるだけで、愛』よりも激しい題名なので一筋縄ではいくまい。両親が事故死し、東京で女優を目指していた姉が帰郷する。「自分は唯一無二の存在」だと信じて疑わない彼女に兄夫婦も妹も振り回される。彼女の狂気に巻き込まれて自滅する兄。自分を殺している嫁。一番冷静だった妹。自分の思い通りにはならない現実を受け入れ成長するはずが、幼児のまま社会に出てしまったが故の悲劇(でも笑える)。「…ねえ、待子さんって、なんで生きてるの?」「理由ですか?…あ、ない!」映像向きの小説だった。2022/02/06

いちろく

29
紹介していただいた本。閉塞感や鬱屈に溢れた本とでも書こうか? ぶっ飛びすぎている。食って掛かるような直接的で攻撃的な表現があると思えば、遺憾なく見せつけられる、終わる。小説を読んでいるのに小説を読んでいる感覚からズレていたのは、著者の劇団旗揚げ公演の内容を改稿した小説と知り納得できた部分も、多々。2023/02/19

mm

24
さすが本谷さん。背筋が寒くなりつつ、お腹に力が入って、目をカンカンに開いて本に食らいつく感じで読めちゃいます。ラストシーンが好き。呪いの力で壊れた扇風機を回す澄伽、それを笑い泣きしながら見つめる待子。劇の場面として力強い。澄伽のイメージと一つ前に読んだ宮部みゆきの登場人物原田いずみイメージが重なります。特別な存在であることにこだわるのは、『個性を大事に』とかはっぱをかけられた世代の呪縛かもしれない。2017/07/04

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