我、拗ね者として生涯を閉ず

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  • サイズ A5判/ページ数 582p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784062125932
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

出版社内容情報

「これを書き終えるまでは死なない、死ねない」
だが、最終回を残して、心血を注いだ連載は絶筆となった。読売社会部エース記者として名を馳せ、独立後は『不当逮捕』『誘拐』などの名作を生んだ孤高のジャーナリストは、2004年12月4日、この世を去った。

悲壮感というやつは嫌いなので、ごく軽く読み流していただきたいが、私はこの連載を書き続けるだけのために生きているようなものである。だから、書き終えるまでは生きていたい。正直なところ、寿命が尽きる時期と連載の終結時を両天秤にかけながら、日を送っているのである。――<第8部 渾身の「黄色い血」キャンペーンより>

両足切断、右眼失明、肝ガン、大腸ガン……病魔と闘いながら、「精神の自由」「人が人として誇り高く生きること」を希求し、現代人の心の荒廃を批判し続けた魂の叫びがここにある。



本田 靖春[ホンダ ヤスハル]
著・文・その他

内容説明

読売社会部エース記者として名を馳せ、独立後『不当逮捕』『誘拐』などの名作を生んだ孤高のジャーナリストは、2004年12月4日、この世を去った。両足切断、右眼失明、肝ガン、大腸ガン…病魔と闘いながら、「精神の自由」「人が人として誇り高く生きること」を希求し、現代人の心の荒廃を批判し続けた魂の叫びがここにある。

目次

由緒正しい貧乏人
植民地朝鮮、支配者の子として
戦後民主主義、光輝く
新聞記者への道
社会部配属、そして暗転
溌剌たる警察回り、そして遊軍
社会部が社会部であった時代
渾身の「黄色い血」キャンペーン
病床で飽食日本を斬る
正力コーナーへの嫌悪〔ほか〕

著者等紹介

本田靖春[ホンダヤスハル]
1933年3月21日、旧朝鮮、京城に生まれる。早稲田大学政治経済学部新聞学科を卒業し、55年、読売新聞社に入社。社会部記者、ニューヨーク特派員などとして活躍。特に、精力を傾けた連載「『黄色い血』追放キャンペーン」では、日本の献血制度確立に多大な貢献を果たす。71年に退社し、フリーのノンフィクション作家となる。84年、先輩記者・立松和博氏の挫折を描いた『不当逮捕』で講談社ノンフィクション賞を受賞。2004年12月4日午後2時49分、多臓器不全のため死去。享年71
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

27
社主の趣味で始まった「究極のメニュー」は、漫画だけの世界はなく、新聞社の体質。朝日、毎日の後塵を拝していた読売が取ったのは、署名記事と社会部強化。これが、若手記者を動機づけ、世論形成モデルが確立。例えば、献血推進では大きな成果を上げた。一方、素人知識は脇が甘く、後年、血液エイズの遠因になった。また、紙面は事業拡大の広告塔に変質、記事は私物化され、公器としての使命を失った。戦後、新聞は急成長を遂げたが、著者の後年には急速な品質低下が始まっていた。マスコミの栄光と衰退の歴史が、「拗ね者」の視点から浮き上がる。2017/06/21

mustache

6
読売新聞が第5福竜丸事件をすっぱ抜いて世界にその名を知らしめたという事実を、この書で初めて知る。社会部の全盛時代、若い記者を自由に行動させて育てる読売新聞の環境のもとで、署名記事を連発して抬頭する本田の青春がみずみずしく語られて、引き込まれる。かろうじて覚えている『黄色い血』のキャンペーンが筆者の手になることも知らなかった。他方で、保守的な家庭観や女性観には辟易とさせられもする。『誘拐』や『不当逮捕』の筆者がどんな「拗ね者」だったのかを知りたくて一気に読んだ。2016/06/01

今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン

5
このような人が拗ね者ではなくMOR的な存在でいることが可能な組織であるならば新聞がこうも廃れることはなかったのでは。2020/02/24

takomi69

3
「社会部が社会部であった時代」を生きた元読売新聞社会部記者、本田靖春の自伝的著作。著者の「拗ね者」としての人柄が滲み出る筆致。「バカヤロー、甘ったれんじゃないよ」(p.264)、「あの野郎、ぶっ飛ばしてやる」(p.223)。著者は「野糞の精神」を説く。「野糞は、それ自体、立ち上がることはできず、まして、相手に飛びかかって噛みつくなぞは絶望的に不可能である。でも、踏みつけられたら確実に、その相手に不快感を与えられる。お前たち、せめてそのくらいの存在にはなれよ」(pp.220-1)。俺もその気組みを忘れない。2009/07/12

かれーらいす

2
本物の物書きの方の綴られた言葉にはありありと拗ね者としてのどうしようもない人間らしさと熱さが籠っていた あとがきもとばさずに読むべきです2023/08/14

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