内容説明
江戸の人々は、暮らしのなかで病とどのようにつきあい、癒やし、いのちを守ったか。医学史研究の第一人者が、錦絵などの絵画資料を通して江戸庶民の生活を明かす。
目次
1 江戸の病をさぐる
2 病人と医者の風景
3 江戸人の一生
4 多彩な治療法
5 江戸のくすり文化
6 病をふせぐ
7 養生―江戸人の知恵
8 近代医学の夜明け
著者等紹介
酒井シヅ[サカイシズ]
1935年静岡県生まれ。三重県立大学医学部卒業。東京大学大学院修了。医史学専攻。順天堂大学医学部教授を経て、現在同大客員教授。日本医史学会常任理事などをつとめる
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感想・レビュー
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Akihiro Nishio
19
既に類書をいくつも読んでいるので、目新しい知識はなかったが、当時の錦絵がたくさん入ることで発見はあった。面白かったのは、病気を疫病神に見立てて、それを打ち払うとされている古代の英雄を対決させている護符の類。これがいちいち格好良い。また、何にでも番付表を作るのが好きだということがわかる。とにかく一番驚くのは、その漫画絵の上手さ。なぜこんな昔から漫画を描いているのか?2017/08/03
小鈴
10
江戸時代の病についてこれほど知ることができるのは、庶民の健康への関心自体が高いため絵巻物や浮世絵、書籍として残されているからだ。先に読んだ江戸の動植物図譜もそうだが、物事を網羅的に知りたがる好奇心と意欲は長い泰平の世の賜物だ。同時に中国から輸入された薬や身体観(五臓六腑)を日本独自のものが生まれたり西洋医学により相対化される。鍼灸然り。産科も独特の技術が。堕胎薬の中条流など。。。2015/10/06
Tomoko 英会話講師&翻訳者
3
絵がたくさんで楽しめた。日頃から「養生する」のが大切です。2018/04/10
雅
1
絵から当時の人々の様子や病気の時の対処法が学べた。絵を戸口に貼って疫病が来ないようにするとかこの食べ物がいいとか悪いとか(でも何を持って判断したかは不明)。他にも現代にも繋がるようなことも。医療技術は発達してないけど当時の人々は生きるということに真摯だったように思う。2013/05/03
紅独歩
1
著者自らが「病を絵巻物にしたのは日本だけ」と紹介しているように、よくぞまあ何でもかんでも絵にしたものだと感心する。コレラが流行った特に描かれた「通神鳥(つかみどり)」などは、死人が出て儲かる職業を集めて戯画化したというのだから洒落がキツい。江戸時代の人と現代人の死生観は意外と近く、むしろ江戸の人の方がハラが座っていたのではないかと感じる。2012/03/02