内容説明
2040年、土曜日の朝、40歳になった教授は、愛宕山の家で、小鳥たちのさえずりを聞きながら目覚める。未来都市東京は、いたる所で木漏れ日が揺れているエコロジー都市である。素粒子論の研究にいきづまっている教授は、土曜日の午後を、研究室の助手である愛人と過ごす時間に、無上のエロスの喜びを見出しているのだが、最近、その愛人と若い研究者の関係を疑い、不安と嫉妬に揺れていた…。静謐な未来都市の無明!40年後、新しい奇病、変わらぬ男女の煩悶。
著者等紹介
青来有一[セイライユウイチ]
1958年生まれ。長崎大学卒。作家。「ジェロニモの十字架」で文学界新人賞を受賞。2001年、『聖水』により、第百二十四回芥川賞受賞(文芸春秋刊)
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感想・レビュー
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遠野
4
前知識なしで手に取ったため最初は呆然としたが、結局とても面白く読み終えた。理系の専門的な語りは自分に理解の素地がなかったため残念ながらほぼ読み飛ばしたが、さり気なく描かれる2040年の技術や出来事は近未来SFとして充分説得力のあるものだった。 技術と倫理の間で、人間はひどいことをする。ノーベルがダイナマイトを発明した時、それを軍事利用されることを想像しなかった筈がない、と作中で学者が指摘しているが、技術革新の今尚進む現代、幾人ものプロメテウスが存在し、苦悩しているのかもしれないと思えてくる。2012/09/06
gurisan
1
★★★☆☆ かつての天才、いまや凡人の大学教授の眼球の毛。それによって失われる世界の色。遺伝子やら素粒子やらと難解な部分もあったけど、全体しっとりと流れる執着のドラマは見応えがある。2009/08/31
ぎょり~
1
眼球にってのが怖い2008/08/18
たく
0
なかなか面白い。この人の本はもっと読んでみたくなる。 2014/08/05
ぷーこ
0
不倫してる人って冴えないなーと苦笑い。そういう意味では喜劇だ。2012/10/01