「弱さ」のちから―ホスピタブルな光景

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  • サイズ B6判/ページ数 221p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062107174
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0010

内容説明

「そこに居てくれること」で救われるのは誰か?ケアする関係の本質に迫る臨床哲学の試み。

目次

袈裟から白衣へ―ピアスをした尼さん
お経と詩―サスペンダーをしたお坊さん
学校という場所―サーフィンやってるセンセー
家族の定型はいま…―住宅にこだわる建築家
キャンピィ感覚―2丁目のクロちゃん
だれでもなくていられる場所―健康ランドに通う小説家
受け身と多様―「先生」と呼ばれる性感マッサージ嬢
「言葉のメス」に抗って―SP活動に取り組むひとりの女性
からだを信じる―横着で優しいダンスセラピスト
血に染まる―花と刺し違える82歳
順調です。―べてるの家
オンリーワン―生徒が生徒を引っぱるスクール

著者等紹介

鷲田清一[ワシダキヨカズ]
1949年生まれ。京都大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専攻は哲学・倫理学。「臨床哲学」という哲学の有りようを模索中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かもめ(甘き絶望)

15
ホスピタリティは、時として弱者から強く発せられることがあるという、ひとつの逆説。本書は13人の多様な事例を挙げてこれを説く。異端な教師、変わった僧侶、精神障がい者、性的少数者、等々が、普通の人の心身のケアをします。そんな話。「とにかくただ誰かが傍にいるだけで、深いケアを享けたと感じるときがある」「いちばん疎外されているやつがいちばんいいんだね」「おれの病気っていい病気かなと思うのは、病気やってて何かひとつ肝心なものを教えられるからでねえかな。無駄でないっていうことを」・・・読解度2.8 総評3.22023/03/25

コジターレ

10
再読。読み返してみて、この数年間の自身の言動が、著者から大きな影響を受けていることに気づく。初読時は援助職として読んだ記憶があるが、今回は中年として、一人の大人として読んでいる自分に少し驚いた。僕には「強くあれ」という囚われがあって、それを時折自他に迫るところがある。だからずっと〈弱さ〉を認め、自他を肯定し、ゆるぎない安心感を持つことができる人間になりたいと願い、精進しているのだろう。再読して、そういう思いを抱けて良かった。2020/02/20

しゅんぺい(笑)

4
最後にある、鷲田さん自身のエッセイ部分までは、よくわからない。 鷲田さんの伝えようとしていることが高尚すぎて、いい意味でわからない。 でも、まともに読んで頷けたのは最後のエッセイ部分ぐらいですが、それだけでもめちゃくちゃよかった。 弱くあることは、必ず、ひとをひきつける。ひとを癒す。世の中に、希望が持てる。 鷲田さんの著書のなかでも言葉が透き通っていて、沁みてくる。気持ちのよい読後感でした。また、読みたい。2013/12/16

Keisuke Osaka

3
「弱さの力」 大学時代にワークショップ形式の講座に参加した際、参加者の中にいた弱視の方からいただいた本。自身が真に救われるためには他人を救わなければならない、という内容。特に相互依存に着目しており、弱者の救済により自分がその弱者のために生きていると感じ、自分の存在意義を実感できる。その意味では、自分を弱者と感じることは全く悪いことではない。弱者は誰かに直接的に救われている一方で、その誰かに存在意義を与えることで間接的に救ってやっているという社会的意義がある。心が落ち込んでいるときに読むと心が楽になる本。

Bartleby

3
鷲田さんの本は今まで何冊も読んできたけど、この本がいちばん読みながら自分の中でいつの間にかたくなっていた何かがほぐされてくるような感覚がありました。また読み返そうと思います。2011/04/25

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