藤田嗣治「異邦人」の生涯

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藤田嗣治「異邦人」の生涯

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  • サイズ B6判/ページ数 317p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784062101431
  • NDC分類 723.1
  • Cコード C0023

内容説明

華麗な伝説に彩られたエコール・ド・パリの寵児は、帰国後なぜ「戦争画のスター」となったのか?戦後フランスに帰化し、二度と日本に帰らなかったのはなぜか?独創的芸術の変遷、苛酷な運命、そして魂の彷徨。未公開資料を駆使して「巨匠の真実」に迫る。

目次

第1章 修行時代(名門の子;東京美術学校 ほか)
第2章 パリの寵児(狂乱の時代;絶賛された裸婦像 ほか)
第3章 皇国の画家(数奇な運命の絵画;十七年ぶりの帰国 ほか)
第4章 さらば日本(GHQからの使者;不毛な論争 ほか)
第5章 「美の国」へ(ニューヨーク;寂蓼のパリ ほか)

著者等紹介

近藤史人[コンドウフミト]
1956年愛媛県生まれ。1979年東京大学独文科卒。同年NHKにディレクターとして入局。教養番組部、NHKエンタープライズ21などを経て現在広島放送局担当部長。制作した主な番組は、NHKスペシャル「革命に消えた絵画~追跡ムソルグスキー『展覧会の絵』~」(放送文化基金奨励賞受賞)、同「故宮」、同「空白の自伝・藤田嗣治」など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kawa

29
東京都美術館・没後50年展で購入。パリ画壇で脚光を浴びながら、日本では長く正当に評価されない。さらに、多くの美術家が取り組んだ戦争画にも関わらず、ただ一人戦争責任を追及された藤田嗣治。その一生を追うノンフィクション。正当に絵を評価するのではなく、時の流れからはみだしているとか、生活態度や行動がよろしくないと批判され疎外される、羨望やねたみに囚われる日本人のいやらしさがもろに出ている印象。かくして、藤田は日本国籍を捨て、異邦人として絵に生涯を捧げた。読み応え有り。2018/09/24

風に吹かれて

15
 藤田嗣治(1986(明19)‐1968(昭43))。 「乳白色の肌」と呼ばれた女性などを描くときに使われた白。しっとり感が伝わってきそうなその色は、どのようにして作られたものなのか分析しきれていないそうだ。白以外の色も研究熱心な藤田が作り出したものであり、また繊細で柔らかな輪郭などの線にもパリの人々は魅了されたそうだ。 藤田が芸大に在学していた頃は黒田清輝がパリから持ち帰った印象派風の絵以外は洋画として認められず、卒業制作の黒を使った『自画像』は黒田から学生たちの面前で「悪い絵」の見本と非難された。 →2023/09/22

風に吹かれて

15
2002年刊。自分は日本人であり日本の画家として世界に通用することを目指した、そういう想いで藤田嗣治は生きたのだろうと本書を読んで深く思った。 数々の資料やたくさんの人の証言を基に藤田嗣治という織物を紡いだような本だ。➡2020/04/01

Foufou

10
荷風の極私的研究から興味は「西洋かぶれ」の別の一日本人の生涯へと移りしばしの迂回。のつもりが、同時に購入した画集と睨めっこしつつ当該伝記を読むにつけ、遣る瀬無さ頻り。エコール・ド・パリ時代の華やかな青年期、帰朝してから戦争画を描くまでの壮年期前半、そして日本との決別となるフランス再渡航。なぜ彼は帰化したか。己の芸術に邁進する人間が、時局によって相対的に善とも悪ともされる愚に堪えられなかった。晩年はカトリックに改宗しランスに礼拝堂を建築。フレスコ画を描き終えるとこの憤怒の人は漸く安寧を得たという。享年81。2019/10/17

rumi

5
モンパルナスでモデリァーニやピカソらと共にエコール・ド・パリという一時代を形作ったレオナルド・フジタの生涯。大戦中戦争画を描くことを求められ最高傑作を生みだしたが、一瞬のうちに裏切られ戦犯に問われる身に。なぜ彼一人が戦争責任を被りフランスに帰化するに至ったのか。遺された記録から世渡りベタで過剰なまでのサービス精神、どんなものへも優しくしてしまう人柄が浮かぶ。日本を離れる時彼が放った言葉が印象的だ〝仲間ゲンカをしないでください。早く世界水準になって下さい。〟あるいみ至極日本的に彼を取り巻き翻弄した日本人。そ2013/06/15

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