内容説明
自分探しの物語。21世紀を予感させる新しい小説の誕生。群像新人文学賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukalalami
6
自己分裂した自分にふたつ名をつけ、春分の日と秋分の日との対立を勝手に作り気違いの役作りしてる哀しい男の物語。この訳わからなさに魅かれてしまう。模倣、虚構、どうどう巡り。万人には受けないかもしれないけど好きな作品です。2013/08/09
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
3
中山唯生という一人の青年について語った物語。何とも形容しがたい話でした。理解はできないけど、ズブズブと自己の中に沈み込んでいくような感じは嫌いではないです。ブルースリーやドン・キホーテの考察がなかなか面白かった。★★★2010/11/21
木戸覚士
2
阿部和重の本領は「疎外感」である。始めから孤立しているのではなく、徐々にコミュニティの外部へと押しやられていく作風は、シンセミアやグランドフィナーレなどにも多々見られる。とくに本作は疎外の自爆的なプロセスがもっとも鮮明に書かれた傑作。後半は爆笑。この頃から阿部文学の決め台詞「ぶっ殺すぞ」が使われていて「ぶっ殺すぞ」好きの私にとってはたまらない一冊。
ゑこびす
2
著者のデビュー作品。 語り手=主人公=もう 1 人の自分という形式で、 虚構の真実を求め、 ひたすら自己批判・自己探求を繰り返す。 意外に読み易い。 フィリップ・K・ディックの K が、 キンドレッドであると初めて知った。 1994 年 第 34 回群像新人文学賞受賞作品。2010/09/06
hirayama46
2
基本的には「ニッポニアニッポン」と同じ路線のダメ人間小説だと思いますが、こちらのほうが複雑な語りや引用が多く難解な印象。構造的なものに目を向けられればもっと楽しく読めるのかな。2010/08/23