内容説明
彼らの求めたものの多くは既に失われてしまっていた。もうそこから進むこともできず、戻ることもできない、暗い森の奥に、永遠に…。限りのない喪失と再生を描く今いちばん激しい100パーセントの恋愛小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
327
とにかく感動した。後半は一気に話の展開が変わってきたのが意外に良かった。あと最後のシーンはどこなのかも分からないし、いつなのかもわからない書き方で煙に巻かれた様な狐につままれたような締めくくりで読者にボールを投げ返すことでいろんな議論が呼ぶのだろうなと思った。主人公は何故か君が望む永遠の鳴海孝之を思い出した。2016/07/01
しろいるか
82
[死は生の対極にあるのではなく、我々の生のうちに潜んでいるのだ] 最期はキズキや姉が呼ぶ声が勝っちゃったのかな。ワタナベ君が一緒に前へ踏み出そう、待ってるという気持ちが、かえって直子に負担となり、絶望させてしまったのかも。直子とは対照的に描かれている緑は、髪型を変えたことに気づいてもらえないと2カ月も口をきいてくれないし、あけすけに思ったことを何でも自分の言葉で語るし、「生」の象徴みたいな存在。多過ぎる死のなかで救いだった。ワタナベ君が、緑の父の病床で、気持ちを通わせキウリをかじる場面がやはりいい。2010/12/05
さおり
57
こんなお話だったのね。「たくさん人が死ぬ美しい物語」って感じに記憶してたんだけど、久々に読んだらなんだこれっつーくらい下ネタじゃないの。いや、下ネタとか言ったらあかんのかな。これが真理なのかな。でも、そういうことばっかり書いてあるのに、エロくないのです。それはそれでどうなんでしょうね?この本に出てくる人は誰もまともじゃないんだけど、そんなこと言い出したら私たちの誰もまともじゃないわけなので、やっぱこれは真理を描いているのか。そうなのか?難しいな。また20年後くらいに再読できたらと思います。2018/09/29
ゲンショウ
50
大事な人の死を精神的に整理する事を心理学的に‘喪の仕事’と云うそうです。この小説は一言で表現すれば、‘僕’の喪の仕事ですね。残酷な位にそれが多く長いですが…時代的な描写を廃し淡々と綴られる文章には引き込まれました。ただ、その方法論と謂いますか、アプローチが個人的には好みでは無いです。老成した40歳の心で、二十歳の頃の出来事を追体験して居る様な…そんな違和感を覚えました。でも、ラストは震えました。終わらないんですよ‘喪の仕事’は生きて居る限り。2012/03/09
かわうそ
49
『「自分に同情するのは下劣な人間のやることだ」』P189 『「俺の言う努力というのはそういうのじゃない。努力というのはもっと主体的に目的的になされるものこことだ」』P114 永沢さんの言葉好きだなあ。でも、1番好きなのは緑。 まあ終わり方はとにかく謎だった。主人公に途中まで自分と重ねて読んでいたけれど、だんだん共感できなくなってしまった。直子を選ぶのか緑を選ぶのかはっきりしてくれ!!!2023/08/16