講談社文芸文庫<br> 老いた体操教師・瀧子其他―小林多喜二初期作品集

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講談社文芸文庫
老いた体操教師・瀧子其他―小林多喜二初期作品集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 285p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061984929
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

大正から昭和初め、働きつつ学ぶ青年多喜二は、文学への熱情、人間を抑圧する社会への怒り、知り初めた恋の苦しみをノートに書きつけ雑誌に投稿した。虐げられる弱き者への優しい眼差しと苦の根源への鋭い問いを秘めたこれら初期作品群こそは、二十九歳で権力に虐殺されたプロレタリア作家の多感な青春の碑である。八十六年ぶりに発掘された最初期の「老いた体操教師」、秀作「瀧子其他」を含む十六篇を精選。

著者等紹介

小林多喜二[コバヤシタキジ]
1903・10・13~1933・2・20。作家。秋田県生まれ。4歳の時、一家で小樽に移住。10代から短歌、詩、小説を書き始め、志賀直哉の文学に学ぶ。24年、小樽高商を卒業。北海道拓殖銀行に勤務しつつ投稿を続ける。27年頃よりプロレタリア作家たる自覚を強め労働運動に積極的に関わる。28年、3・15事件をテーマにする「一九二八年三月十五日」を発表。29年、日本プロレタリア作家同盟中央委員となり、「蟹工船」を発表。拓銀を解雇されて、30年に上京。31年、非合法の日本共産党入党。33年2月20日、特高に逮捕され、築地署で拷問を受け死亡。戦後、数次にわたり全集が刊行された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

8
「健」より。「村では一二三人の生徒が皆先生と一緒になって――先生と生徒の区別もなく愉快に勉強していた」(44頁)。少人数教育が理想的ではないか。少子化でもまだ30人学級とか言っている。「最後のもの」より。「貧乏な者に残されているものは『死ね』ということしかないらしい」(221頁)。酷過ぎる。現代のプレカリアートなのだが、生活保護カットはシビルミニマムを壊す。「瀧子其他」ではNecessary evilという必要悪が取り上げられる(243頁)。貧困は必要悪ではない。自己責任でもない。社会的責任と思われるが。2013/05/02

もん

2
社会に生きる弱者の存在、圧倒的なまでの格差、男性に蹂躙される女性。当時の社会の様々な問題が表象されている作品群だと思いました。作品の中に漂う諦念の雰囲気を払拭できるような社会に今なっているのか?現在を見つめる一つの視点になれば良いです。2009/11/02

1
弱者の苦しい、悔しい、畜生!でもどうしようもないみたいな諦観 その弱者っていうのも労働者ばっかりではなく、女性だったり家族を背負う人だったり子供であったり そういうところに目が向くところ(目を逸らさないというか)は初期から持っていたものなのかなあと思いました2017/02/13

みずいろ

1
弱い者に寄り添う視線は既にある。こんなはずじゃない、と訴える、哀愁漂う作品たち。老いた体操教師から売春婦まで、どんな苦悩も描ききるのだからすごい。2011/08/28

endlessworldsend

1
正義がせせら笑ってるよ2011/01/27

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