内容説明
昭和の閉幕を待つようにこの世を去った美空ひばり。この不世出の歌姫はいかに誕生したか、その四十余年の軌跡をたどり、執拗に「戦後」の意味を追求する。彼女を生み育てた戦後に始まる民主主義が、過去のものとして切り捨てられるのはいかがなものか。警世の熱情あふれる、渾身のノンフィクション大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
unterwelt
1
美空ひばりの人生を縦軸に、彼女と関わりのあった人を横軸にして戦後という時代を書く。元新聞記者だけに取材もしっかりしているけど、著者の主張がこの本をある時代にしか通用しないものにしてしまっていると感じました。著者の主張は権力と闘っていればそれで良かった冷戦や経済成長の中でしか成立し得ないものでしかないのではなかろうか。それを捨てられなかったのが今の日本の左派・リベラルの退潮の原因だと思うんだけど。てか、大衆vsインテリ自体がもう成り立たないし、この本を読むことになんの意義があるんだろという気もする。2020/05/30