内容説明
古代において〈狂〉とは、神に魅せられた状態であった。また芭蕉の、止みがたい漂泊の思は「そぞろ神の物について心を狂はせ」た結果であろうか。無常の世に棲む人間はその哀しさに耐えず、さまざまな〈狂〉を演ずる。その夢の世を、むなしく凝視しつづけた日本人の系譜を追って、現代の〈狂〉を予感させる名著。
目次
狂と陽狂
不要の精神
「をかし」
性
夢
詩の修羅
乱世の狂
物狂
死狂
風狂
〓
戯作
乱離の精神
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れいまん
1
日本文学における「狂」を古典から余すところ無く分析している。 藤原定家について「定家の詩に旅はほとんど影響を与えていない。彼の歌の地名はほとんど歌枕であり文献的な異界であった西行が現実の境遇に体験しようとしたものをわが内なる世界において体験しようとしたこの内向的な一途さは、稀にみる激しさを持っていて、晩年の古典の書写もその一つと見ることが出来よう。ここでも定家はしきりに狂を繰り返すのである」なかなか難しい2022/02/13
こんがら童子
1
全体的にあまり印象に残らない本だった。テーマはとても面白いと思ったのが、論証というか内容というか、あまり濃くなかった。でも世阿弥の箇所はそれなりに面白かったが。でもそれも結構言われていることでもあるので、めちゃくちゃ面白いわけでもなかったが。2010/06/03
丰
0
Y-202007/02/17