講談社文庫<br> 赤い人

  • ポイントキャンペーン

講談社文庫
赤い人

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 265p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061832008
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

【内容紹介】
赤い囚衣の男たちが石狩川上流に押送されたのは明治14年のことだった。国策に沿ってかれらに課せられた死の重労働。鉄丸・鎖につながれた囚徒たちの労役で原野が切り開かれていく。北海道開拓史の暗部に横たわる集治監の歴史。死を賭して脱走を試みる囚人たちと看守たちの、敵意にみちた命がけのドラマ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

真香@ゆるゆるペース

140
実家本。父が吉村氏の作品を何冊も持っており、私もその影響を受けて好きになったので数回目の拝借。本書は、明治時代未開の地であった蝦夷(北海道)を開拓するために本土から送られた囚人の物語。これまで開拓したのはずっと屯田兵だと思っていたので、その基盤を作ったのは実は囚人だったと知らずに驚いた。劣悪な環境下で過酷な労働を強いられ脱走を試みる囚人と、非人道的で容赦のない看守達。人権って一体何なんだろうな…と考えずにいられなかった。この時代の犠牲者の上に今が成り立っていることを、我々は忘れてはならない。2021/09/12

Satomi

74
赤い人。かつて囚人は赤い服を着ていたという。逃げた際に目立つように…。舞台は、ほんの100年ほど前の北海道。北海道開拓に囚人が道具のように扱われていた…。極寒の地で、足袋さえも履かせず、ひたすらにただただ道具として扱う。囚人を更生させるという考えは全くない。重い労役を課して堪えがたい苦痛を味わせるのみ。苛酷だ…。重労働で命を落とす者、耐えらず逃げたしたもののやはり極寒の地で命を落とす者。ものすごいルポルタージュを読んだような気にさせられる。これまた衝撃作。2017/08/11

タツ フカガワ

70
明治14年、東京の監獄から赤い囚衣の男たち40人が行き先も知らされず船に乗せられる。向かったのは北海道、石狩川上流の月形村。彼らはそこで自らが服役する監獄を建てるため森で木を伐採し、さらに周囲を開墾するという苛酷な労働を課せられる。本書は、囚人を北海道開拓の労働力にしようという政策の38年にわたる北海道監獄史で、吉村さんの克明な描写にページを捲る手は凍え胸が塞がれるような気分のうちに読了。令和のいま服役囚を刑務所内で“さん”付けという話、脱獄を繰り返した五寸釘寅吉はどう思う?2024/02/28

saga

68
【古書】管見にして集治監という名称を知らず、まして北海道で初めて樺戸にそれが開かれたことも本書で知ることになった。明治という時代は、江戸の刑罰の悪い部分を踏襲して囚人に対応することが当たり前。囚人は過酷な環境と懲罰に晒され、それを命令されている下級看守も囚人に何かあれば減俸、免職。囚人と看守が反目し、それが脱獄を助長させる。囚人道路に象徴される強制労働は、ナチスの強制収容所やソ連捕虜収容所を思わせる劣悪な状況の下で北海道が開拓されたことを改めて思い知らされた。2024/01/20

yomineko@猫と共に生きる

65
読み友さんからのご紹介です。表紙は蝦夷地の囚人です。脱獄してもすぐ見つかる様にと赤い服。北海道を開拓したのは屯田兵ではなく、実は囚人だった。余りの過酷な労働。囚人とは言え、酷すぎる。死者、脱獄して斬殺された者、自殺者多数。明治時代の北海道がどれ程すさまじい寒さであったかがよく分かる。ゴールデンカムイに登場する囚人が出て来て驚いた。さすが吉村昭先生。とても素晴らしい小説でした。2021/12/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/545256
  • ご注意事項