内容説明
密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!?名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
98
御手洗シリーズは昔読んでいた懐かしいミステリー。加筆修正を大幅に加えた改訂完全版とくれば手にしたくなるものです。6人の女性からアゾートを作り出す計画から始まる密室殺人、各地で見つかる女性の遺体と全てが完璧なトリックで彩られていました。40年も未解決だった事件を鮮やかに解決できたのは御手洗さんならではでしょう。この作品が島田先生のデビュー作であり、本格ミステリーの時代の幕開けとも言える作品でもあることに驚かされるばかりです。2017/09/25
かのこ
62
再読。6人の処女の肉体から完璧な女“アゾート”を生み出す手記を遺した画家。彼の死後、手記に書かれた計画が現実となったように、6人の娘が行方不明となり、各地で死体が発見される。日本中のミステリーファンが40年知恵を絞っても解けなかった謎に挑む御手洗潔デビュー作。探偵・御手洗とワトスン・石岡のセリフがどっちが喋ってるのか分からなくなったり(笑)若干の読みにくさがデビュー作らしいと言えばらしいけど、トリックが一級品すぎてとても新人が考えついたように思えない…。数あるミステリーの中でも有名なのが頷ける作品。2017/04/02
aqua_33
58
島田さん初読み。密室で殺された画家梅沢平吉が遺した手記に6人の女性の肉体からアゾート(完璧な女)を創る計画が書かれていた。そして本当に平吉が殺害された後6人の女性が行方不明となり、日本各地で遺体で発見される。その女性達は平吉の娘や姪だった。40年間警察も素人探偵も解けなかった謎を御手洗潔が見事解決。トリックは金田一少年の漫画で読んだことあったけど、こんなの絶対分からないわ~。破れたお札にセロハンテープが貼られていたことから謎を解き明かした御手洗さん凄すぎ。《2017年69冊目》2017/03/31
kagetrasama-aoi(葵・橘)
46
5000冊記念に選んだ本です。島田荘司御大の “御手洗潔シリーズ” の記念すべき第一作目。元々本好きだったんですが、この本との出逢いにより推理小説と離れられない身体になりました。素晴らしいです!設定といい、トリックといい、賞賛しかうかびません。御手洗さんと石岡君の会話や、語り手の石岡君の心の声がなんとも面白くて!傑作だと思います。2023/03/29
藤月はな(灯れ松明の火)
40
手記辺りが読みにくかったので苦労しましたし、石岡君と御手洗君の会話だけの文に戸惑いましたが面白かったです。御手洗君の躁鬱が激しくて石岡君の就職活動を寂しさのあまりに止めたり、シャーロキアンが激怒しそうな言葉を言ったり、女性に対する的確な発言をしたり、行き倒れそうになって石岡君に助けを求めたり、ハムエッグならぬハム煎り卵を隠そうとする姿などが可愛くてお友達になってみたいです^^最後の手紙が切なくて印象に残っています。それにしても某漫画って一体、何でしょうか?2011/03/30