講談社学術文庫
近代日本「美学」の誕生

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  • サイズ 文庫判/ページ数 317p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784061597549
  • NDC分類 701.1
  • Cコード C0170

内容説明

フェノロサ『美術真説』と坪内逍遙『小説神髄』によって基礎を打ち立てられた日本の美学。岡倉天心は理念を実践的に展開し、森鴎外はハルトマンを武器に学問としての有効性を定着させる。明治以降、西欧から導入された美学はどのように咀嚼され、固有の美意識をどのように反映させてきたのか。絵画・彫刻・文学・音楽における芸術思想の流れを追う。

目次

「日本」の美学と日本の「美学」
第1部 美学と美術史(西洋に対する東洋―岡倉天心の芸術論;「日本」の美学の形成―フェノロサから天心へ;「日本美術史」と「東洋の理想」―美術史学の構想;森鴎外と「美学」―明治美学史への試み)
第2部 芸術論の展開(青木繁と浪漫主義絵画―芸術の創造性を求めて;「緑色の太陽」は「印象派宣言」か―高村光太郎のモダニズム;ロダンと彫刻の近代―彫刻の触覚性をめぐって;子規のリアリズム―「風流はいづくにもある可し」;日本のロマン主義―「文学界」から「日本浪曼派」へ;洋楽受容と音楽美学―教育音楽から芸術音楽へ)

著者等紹介

神林恒道[カンバヤシツネミチ]
1938年新潟市生まれ。京都大学大学院博士課程修了。大阪大学名誉教授、立命館大学大学院教授、文学博士。専攻は美学美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

4
aestheticaという西欧人文学が明治にどう受容、咀嚼されたか、固有の美意識をどう反映したか(9ページ)。岡倉天心は西欧芸術を導入する際、「自ら主となり」「系統を守って進み」と主張(36ページ)。天心思想はラスキンの芸術を滅ぼすのは機械文明と見做すもの(39ページ)。フェノロサの妙想は理念と類似(46ページ)。伊澤修二先生は、行くと伊那市高遠町の図書館前に銅像が建っていた。東京音楽学校をつくった(252ページ)。他に田村寛貞は知らなかった。浮世絵を芸術と見做していない時代もあったとは(291ページ)。2012/12/25

街場マチ子

0
読了といっても、文学と音楽に関わるところは時間がないので未読。いずれ時間のある時に。天心による「日本美術史」の成立は、日本の近代化のみならず世界的なロマン主義・国民国家主義の潮流の中に布置され得るものだということがよくわかりました。特に、ラファエル前派の影響に関する指摘は驚き。このあたりの研究は今どこまで進んでいるのかチェックせねば。そういえば、夏目漱石もラファエル前派好きだっけ。2014/04/20

Takeshi Nakazawa

0
明治以来、我が国は西洋文化を果敢に取り入れ、近代国家の建設に邁進してきた。こんにち「美学」と呼ばれる学問もまた、その例外ではない。西周による「美妙学」の紹介に始まり、フェノロサの『美術真説』、岡倉天心の『日本美術史』などを経て、美学は美術批評におけるその有効性を世に認められる。「美術ト相通ジテソノ元理ヲ極ムルモノ」としての美学観は、こうして始まった。だがそれは、果たして美学(エステティカ)の本来の姿なのだろうか? 18世紀のドイツで「感性学」として構想されたエステティカには、もっと幅広い役割があるのではな2012/02/22

tnk

0
岡倉天心における二つのロマン主義という始点が興味深い。近代的精神としてのロマン主義、近代批判としてのロマン主義が交錯している。2019/01/11

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