内容説明
厳粛の中で神秘的幽玄の美が醸し出される能。人形に不思議な生命を吹き込み演じる文楽。華麗な色彩と響きと演技が繰り広げられる歌舞伎。少年期に演劇の擒になって以来、七十年。日本人以上に日本文化に通暁するキーン博士が世界に比類のない日本の伝統芸能について、その歴史と魅力と醍醐味とを存分に語り尽くす。
目次
第1部 能(能のよろこび;能と狂言の歴史;文学としての能と狂言 ほか)
第2部 文楽(文楽の味;文楽の歴史;脚本と太夫 ほか)
第3部 歌舞伎と日本の演劇(歌舞伎;日本の演劇;近松と私)
著者等紹介
キーン,ドナルド[キーン,ドナルド][Keene,Donald]
1922年ニューヨーク市生まれ。コロンビア大学卒業。コロンビア大学東洋学部名誉教授、アメリカ・アカデミー会員、日本学士院客員。菊池寛賞・井上靖文化賞などを受賞。また、勲二等旭日重光章を受章
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感想・レビュー
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いちねんせい
36
これでもかというぐらい能について書かれていて嬉しい限り。他の本で読んだことや見聞きしたことはもちろんだが、さらに掘り下げて書いてあり、その膨大な知識量と能や文楽への愛に驚かされっぱなしの一冊だった。毎晩少しずつ読んでいたのだが、とうとう読み終わってしまった!2019/12/14
ヨーイチ
26
能と文楽だけだと地味だと思ったのだろうか。中途半端に歌舞伎がくっ付いている。ドナルド・キーンの本は英語で書かれた物か日本語で書かれた物かが何時も気になる。本書は英語で書かれた。三部構成の歌舞伎は講演速記。英語圏のインテリに向けた、能と文楽の解説、紹介といった趣。1966年辺りの発刊で、日本イコール、フジヤマ、ゲイシャ、の頃だろう。著者の日本学への入口が演劇であっのは初耳。近松を読み込んで、未知の舞台に憧れ、日本への来日を果たしたらしい。第二部の文楽が分かり易く、面白い。訳者は吉田健一。実はこれも購入の理由2015/08/10
ことり
13
大学のレポートのため、読了。未知の世界を固く難解な文章で読み進めていくのは、大変です。とくに、能は、作者の能に対する愛が溢れていて、詳しく濃いので、難しい!文楽については発表したので、ある程度知識がついてるからか読むのが楽しい!能をはじめ、日本芸能を見るにはある程度の知識が必要だけれど、この一冊で知識を得ることができそうです。でも、この一冊を読む前にカラーの入門書などを読むことをオススメします。能・文楽は具体例も豊富だし、日本芸能全般についてなども知れる読み応えがある一冊です。2018/07/02
AR
6
これまで抱いていた古典への偏見を破壊し、非情に興味をもたせる良書。その知識の深さも驚きだが、何より「能」などを魅力的に伝える文か。いやいや、これは文というより芸術に対する「愛」の具現化ともいえる。ここまで語らせる文化を持ってることに、日本人こそが誇りに持つべきなのではないか。そう考え、させられたりもする。2013/06/28
櫂
5
能・文楽・歌舞伎とタイトルからすると1:1:1に見えますが内容は5:3:1位です。能好きとしては満足な比率ですが。能は稽古したことあるんで納得な内容ですが、文楽と歌舞伎を見てみたくたなりました。どっちかって言ったら原作というか、言葉重視で文楽かなぁ。後は稽古してても、歴史的な経緯とか、観阿弥世阿弥、その他立役者の考え方とか知らんよなぁ。無心に師匠を真似せよ、という芸なのは確かだけど、歴史を整理する位はやってもいいんじゃないかと思ったり。2014/09/13