出版社内容情報
【内容紹介】
夏目漱石は当時の文人としては異例な科学好きであった。『三四郎』で野々宮理学士が行う「光線の圧力測定」の実験などには、手作りの装置でこつこつと自然の謎を解明しようとする科学者の純朴な姿がある。現代科学には失われてしまった人肌のぬくもりを持つ1世紀前の科学は、漱石の作品に味わい深さと膨らみを与えた。科学をこよなく愛した文豪を、同時代の科学史的背景と共に描いた異色の漱石論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
6
個人の感想です:B。図書館で本の表題に魅かれて借りた。漱石と科学にどのような関係があるのか?それは第1章の【『それから』と落椿】で明らかになる。漱石の教え子で俳句の弟子だった物理学者の寺田寅彦は漱石の「落ちさまに蝱(あぶ)を伏せたる椿哉」(1896年)の俳句を基に椿の花が落ちる向きをカウントして論文にまとめるという”珍研究”を行った。さらに漱石自身も色々な作品や講演の中で最新の科学に沿った考え方を披露している内容が多いと書かれていた。特に第6章の『こころ』と第7章の『明暗』は興味深かった。2018/12/27
猫丸
0
著者は話がうまいなあ。 「明暗」読解のキイワードとして「偶然」を取り出すのって、割とありがちなんでしょうか?