内容説明
本書では、19世紀のドイツの大学における科学のスタイル形成や、現代数学の理論的概念が世界観上の対立をも孕んで形づくられたこと、更にロシアにおける歪曲の歴史的経緯にもふれながらマルクス主義の科学理論について論じる。現代科学を総合的に捉えなおすには、数学や科学の内容に歴史的に通じることが必要であり、現代数学などの学問分野の理解には、歴史的アプローチが必須と説く意欲作。
目次
第4章 ドイツ近代大学建設と科学思想(第2の科学革命の第2幕;19世紀プロイセンの大学改革 ほか)
第5章 ヴァイマル文化と現代数学の始原(ヨーロッパの安定の時代とその危機;数学基礎論論争の展開 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
7
終章である第六章(マルクス主義)以外は非常によく出来ているように思う。第五章の現象学的数学論ではフッサールの関わった数学基礎論争がコンパクトにまとめられており勉強になる。「フッサールは認識共同体に歴史的に与えられた遺産、および、その与えられ方に関する哲学的省察を推進することで、形式主義の認識論的蘇ほくさを全面的に乗り越えようとした…その思索は近代数学にとって数学史研究が不可欠であることを示したーよし、フッサール自身は、観念論的な哲学的方向づけをしただけに終わったにしても。」2021/08/13