出版社内容情報
【内容紹介】
本書は、論文を書くことはレトリックの問題であるという視点から、構造的な論文構成の戦略論と、でき上がるまでのプロセスをレトリックとして重視しつつ論文の具体的なまとめ方を教授した書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁Lei❁
20
論文の書き方で迷子になっている学生におすすめ。自分の主張が読者に伝わることが何よりも大切なので、言い回しは猿でもわかるくらい平易に書くべきだというのが私の持論でした。それが間違っていなかったことが判明し、喜ばしい限りです。難解な単語の羅列は、筆者だけが意味をわかっている独りよがりな文章だと、はっきり断罪されています。また、序・本・結の型や割合なども言及されており、参考になりました。序において明確な問いを立て、結びにおいてその答えを与える。これが、論文ははじめとおわりを読めばわかると言われる所以でしょう。2024/02/20
anarchy_in_oita
8
問題領域から一つの問を切り出し、論文全体の構造を意識しながら平易な言葉を用いて論述すること。些末な文章論や受験産業が嘯く小手先の「受かる」テクニックを、論文の書き方として一切拒否する著者の姿勢は見ていて清々しい。また、定義が曖昧な言葉(例えば資本主義)を乱用することや現代の価値観で過去の事象に意味を持たせることへの戒めは、本書の目的を超えて有益な助言であると思う。ニューアカ隆盛の最中に出版されたことを思うと、著者の嘆息が聞こえてくるようだ。同著者の「論文の書き方」と合わせて読むと威力を発揮すると思う。2020/04/09
K.iz
7
付録のサッチャーの演説が必読です。これを読んで、レトリックとはこういうものなんだと得心しました。2016/01/08
うえ
6
古すぎる手引き書。昭和58年。「わからない大論文の好例はフランスの「新しい歴史」「アナル・グループ」の大長老ブロデルの大著『地中海』である。眼もくらむような壮大な規模と博学と名文で特徴づけられる作品ではあるが、フィリップ二世時代の地中海世界について要するに何をいおうとしているのかわからない」さすが昭和…2015/06/21
晩鳥
5
内容が古いという意見もあるが、問の重要性や論文の構成など勉強になることが多く書いてあった。レポート提出後、教授に指摘されたことがいくつもある。あらかじめこの本を読んでおけばよかった・・・。1章1章が短いので、必要なところだけその都度読んでもいいと思う。2016/03/14