出版社内容情報
【内容紹介】
『今昔物語集』巻五は釈尊以前の、インド古代伝承にもとづく種々の説話を収める。前四巻に比べて世俗説話性が濃厚であり、僧迦羅国(今のスリランカ)建国由来談をはじめ、国宝の夜光玉を盗んだ盗賊が半国を賜わった話、女色に迷った一角仙人の話、月の中の兎の話、虎の威を借る狐の話、棄老国の話など、人間のさまざまな欲望をとらえて波乱に富んだ興味深い話が多く、それらが釈尊の前生や仏法ないし処世訓と結びついて語られる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
in medio tutissimus ibis.
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インドの抹香臭くないお話(比較的)。といっても本生譚が収録されていたりするけれど。一角仙人の話も本生譚に入ってる場合があるとは知らなんだ。知ってるヴァージョンより格好よく体裁つけてあるけど。とまれ、あまり説教くさい感じが抜けて読んでいて面白い話が多い。バトル漫画で主人公勢が絡まない戦いが面白いのと一緒の現象かな(違う)。マハーバーラタのパーンダヴァ・クルラヴァ並のトンデモ出生がテンプレと化してる……。何故だか五百人という数字が結構頻出する。古代インド的には何か切が良かったり縁起の良い数字だったんだろうか。2016/04/24
和沙
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『今昔物語集』巻第五、天竺部完結編です。羅刹を倒して新たなる国を建てた商人・僧加羅の話に始まり、獅子・狐・鹿などが登場する動物説話、そして年寄りを捨てる話——いわゆる「棄老説話」で終わる巻です。親しみやすいお話がたくさんあります。またこの本は、説話ごとに本文・現代語訳・注釈・解説を完備していますので、古典初心者の方にもおススメです。