出版社内容情報
【内容紹介】
著者渋沢栄一は、「論語」を選んだ理由を次のように述べている。「均しく儒教を奉ずるにしても、大学もあり中庸もあるのにこれを捨ててただ論語を選んで遵法する理由は、大学は政治に関する教誨を重しとし、中庸は更に一層高い見地に立った悠遠な説で、(中略)しかし論語は日常処世上の実際に応用し得る教えであるから、論語を選んで終生悖らないことを期している」――また、その解釈の立場は王陽明を主とした折衷の立場をとっている。
感想・レビュー
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Kawai Hideki
88
渋沢栄一の論語講義第6巻。憲問第十四、衛霊公第十五、季子第十六を収録。孔子が不遇をかこち、弟子になじられたり、老子派などの論敵に罵倒されたりしながらも、君子としての在り方を示していくシーンが印象的。これまでの章に出てきた内容を、より端的かつ鮮やかに表現した警句も多く、だんだん終盤に差し掛かってきたなという感じがした。裏表紙に記載された渋沢栄一の論語の読み方も参考になる。儒教の中でも大学や中庸は大所高所からの悠遠な説であるのに対し、論語は「日常処世上の実際に応用しうる」点で優れているとのこと。2016/01/18