出版社内容情報
【内容紹介】
「それ算盤(そろばん)をはじくは利である。論語を読むは道徳である。余はこの論語と算盤との2つがあい伴い、あい一致しなければならぬと信ずる……今、後進の青年淑女に対しこの2者の調和平行しなければならぬ理由を説明せんがために、この講義をなしておるのである」と著者は、本講義遂行の意図を明らかにしている。漢学者による語義。語釈中心の論語解釈書の多い中で、本書が最良の実業家の手になる論語講義として異彩を放つ所以である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
85
渋沢栄一による論語解説。全7巻のうち第4巻で折り返し地点。子罕第九〜先進第十一の三章を収録。本書では、孔子から見た弟子の評、弟子から見た孔子の行動が多く触れられ、孔子一門の年齢構成、人間関係や個々の性格、逆境への態度の違いなどがよく分かった。一番印象深かったのは渋沢栄一が孔子の人生を総括している、新進編の最後の節と子罕編の第10節目。天下を放浪して登用されず、何度も殺されそうになった。一人息子にも一番弟子にも先立たれた。不遇と悲境の中で「最も平凡が発達した聖人」。だからこそ、我々も学ぶところがあるのだと。2015/11/10