内容説明
知らず知らずのうちに日本と日本人の学力・知性・モラルの崩壊が始まっている。
目次
第1章 活字の劣化
第2章 モラルの劣化
第3章 劣化していないものは?
第4章 若者の「生きる力」の劣化
第5章 社会の劣化
第6章 排除型社会での「寛容の劣化」
第7章 劣化はいつから起きたのか
第8章 劣化か、進化か
第9章 劣化を防ぐことはできるか
著者等紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年7月1日、北海道札幌市に生まれる。東京医科大学卒業。精神科医。帝塚山学院大学人間文化学部人間学科教授。臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍、また、現代人の「心の病」について洞察を続けている。専門は精神科医だが、サブカルチャーにも関心を持つ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かわうそ
56
★★★★☆日本人というよりは世界的に劣化がはじまっている。劣化の遠因は新自由主義。新自由主義とは国会の介入を一切なくし、利益第1で経済を回していく思想である。新自由主義は排除型社会の理論的支柱となる。新自由主義は寛容の劣化を引き起こす。僕は日本の排外的ナショナリズムの高揚も寛容の劣化が引き起こしたと思う。死刑制度肯定論も寛容の劣化によるものだと考える。モラルの劣化は最近本当に感じる。電車で時刻が少し遅れただけで舌打ちをする連中は極度のモラル低下。劣化を減速させるには我々が劣化を認識することが必要。2016/09/06
けんとまん1007
23
結構、出版されてから期間が経っているが、ここで述べられている傾向は、ますます強くなってきていると思ってしまう。短期的、仲良し(見かけ)、お得感、深く考えれない・・・。自分の周囲を見ても、確実に、その傾向が見えてしまう。もちろん、それに抗うものもある。懐の深い人が減ってきたと思うし、ちょっとした心遣いさえあればと思うのだが。2016/09/29
呼戯人
18
再読。劣化というにはひどくなりすぎた日本を10年前の視点から眺めてみた感想が今となっては可愛らしい。RPGですら読み解く力を失った日本が、行き着く先はどこなのか。その劣化の根源を新自由主義であると喝破しているところはさすがといいたい。20年前には誰にも相手をされなかったような連中が権力を握る世の中にあって、これを排除型の社会としてファシズムの完成形としているのは、その通りと今となっても膝を打つだけの説得力はある。体力も学習力も思い遣りも寛容力も全てが劣化して日本はこのまま滅びてもしょうがない。2018/09/17
Taka
12
タイトルが刺激的な新書は卒業しようと思いつつも手に取ってしまう。私はB層だ。活字の劣化。どんどん短くなる新聞とミリオンセラーになるなぞる本。今は7秒しか集中力がないとか。モラルの劣化を。正当な権利と個人の身勝手。モラルの無い医者。生きる力の劣化。身体知的レベルの劣化。社会の劣化。リベラリズムの劣化。寛容の劣化。劣化を防ぐことはできるか。自分たちは劣化しているという病識を持つ。個別な課題を社会的な問題として捉え直す。自分の権力を吠えた所で暴力が振ってこないなら、上品より下品をとるのが人という生物ですかね2023/07/10
AKIKO-WILL
11
タイトルがかなりインパクトがあり読みました。劣化している?活字の劣化、モラルの劣化、社会の劣化、生きる力の劣化、特に給食費未納の話や救急車をタクシー代わりに使う人たちのモラルの劣化は当てはまる気がしますが、全体に劣化しているのか?と言われるとどうかな。劣化を止めるには気付く事が大事らしいがそれに気付く人は案外少ないのかも。ただ、利己的になるのではなく人を思いやる気持ちの劣化はしたくないと感じます。2013/09/11