内容説明
夢解釈の理論確立の経緯、ユダヤ人としての苦悩、そして知られざる私生活…。フロイト論の決定版。
目次
序章 フロイト―その思想と人生
第1章 フロイトらしいその生と死
第2章 ヒトの無力さと心の適応
第3章 無意識への王道
第4章 喪の仕事と回想
第5章 エディプス・コンプレックスとは
第6章 心的外傷か内的幻想か
第7章 宗教、国家、民族からも自立して
第8章 フロイトからフロイト以後の精神分析へ
終章 裏から見たフロイト思想
著者等紹介
小此木啓吾[オコノギケイゴ]
1930年生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。現在は東京国際大学大学院臨床心理学研究科教授。元日本精神分析学会会長
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
17
学部2回生の時、大阪大学から来てくれてはるお若い先生の、夢分析の演習授業を受けた。受講生4人で、小さな教室でちんまりと環になって座って、毎回みっちり討論した。「大学って、こんなんなんだ…!」と静かな興奮を味わった、思い出の授業だ。夢に関する著作を1人5冊ずつ探して読んできて、書評論文の超短いやつみたいなのを作成して、共有する…ということをした。河合隼雄の『明恵 夢を語る』を読もうとして、難し過ぎて歯が立たず諦めてったら、4回生の先輩がこれを読んで発表してて、4回生すごいなーとも思った。『ハムレット』の→2022/03/04
ステビア
15
大変よくまとまつてるんぢやないだらうか。2016/06/25
がりがり君
5
なんだかみんな軽めに扱いがちなフロイトだけど、その後の精神分析のアイデアの萌芽の大部分を担ってたことがわかる。意外な所ではエリクソンのアイデンティティ論や、ボウルビィの愛着理論への導入もフロイトの影響だった。あとラカンの鏡像段階のアイデアの萌芽さえも見られる。フロイトは意外な所まで考えている。2021/05/16
はる
3
分かりやすい。フロイト思想は本人の著作だけでもやたらとあり、時期によってフロイト自身の立場も微妙に変わるので、全体像が掴みにくい印象だった。新書として一冊にまとめてもらえると、辞書のようにも使えて有り難い。フロイトの人となりには心が温まったり、少しぐっと来たり。2020/06/17
ころこ
3
いわずと知れたフロイトの紹介本です。非常に平易ですが、奇を衒ったところもなく、最高の入門書なのではないでしょうか。フロイトは臨床医として勤務する傍ら、夜の9、10時から夜半の1、2時まで論文、著作を描き続けました。66歳でガンに侵されて、33回もの手術のうち83歳で亡くなるまで書き続けられた膨大な文章は、人文知における心理学の無根拠さを、文章の量によって克服する試みのようで、文学にはじまり、思想哲学、文化人類学、ジェンダー論への貢献は、知の巨人と呼ぶに相応しい偉大な業績です。 2016/12/13