• ポイントキャンペーン

講談社現代新書
決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061495166
  • NDC分類 322.3
  • Cコード C0222

内容説明

権利と正義を求め、生死を懸けた苛烈な裁判。究極の自力救済の戦いは、なぜ中世キリスト教世界で広く行われたのか。欧米型当事者主義の本質に迫る。

目次

プロローグ 『ローエングリン』―神の裁きとしての決闘
第1章 神判―火と水の奇跡と一騎討ち
第2章 決闘裁判―力と神意
第3章 決闘裁判はどのように行われたか―賢明な仕方で運用される愚かなこと
第4章 決闘裁判の終焉と自由主義
エピローグ 正義と裁判

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

17
決闘裁判は神判の一つに分類されるが火審や水審などと異なり、当事者の力次第で野蛮なものだ。どうしてヨーロッパだけこの裁判形式が近代まであったかを本書は分析している。元々はゲルマン民族などにあった慣習的なものだったが、キリスト教が神の存在を定着させるために司教たちにも積極的に参加させ、儀式の中で神の存在をはっきりと人々に認識させる布教の役割もあった。また、止めさせようにも敗者から金を得られる点で領主たちの重要な財源だし、慣習だから国家権力が弱い近代以前では禁止できなかったという実際的な理由が分かりやすかった。2020/11/04

えふのらん

3
思ったよりも政治哲学よりの内容だった。ゲルマンの慣習を教会が引き継いで神意を仰ぐ対称をゲルマンの神からキリスト教のそれに挿げ替えて布教に役立てた(よくある上書き保存)とか決闘は実力がものをいうから前段階の宣誓での偽証を防止することができたとか文化史的な解釈、制度にとっての利点が興味深い。意外なの教会側からの批判で、神意を仰ぐのは神を試すような行いだとか色々と言われていたらしい。神の下で人が裁くのはありだけど、判断を仰ぐのはだめなのか……たまにこの手の理屈は見かけるけど匙加減でいろいろ変わるんですね。2022/10/15

ankowakoshian11

2
『最後の決闘裁判』のサブテキストとして読み始めたが、中世キリスト教世界で決闘裁判が生まれた理由、欧州の法精神の考え方が分かる内容でとても興味深かった。自分の無実の証明に①熱湯神判(熱湯に手を入れて火傷の程度で判断)②熱鉄神判(灼熱の鉄を持つ/歩かせるで火傷の有無で正否判断)③冷水神判(水中に沈めて浮かべは有罪、沈めば無罪)④決闘裁判。特に③は無罪でも溺死するじゃん……という💧究極の自力救済というのは本気の命がけなんだな……と。2021/12/09

富士さん

2
ワタシのアメリカ理解に大きな影響を与えた一冊。再読。アメリカ合衆国という国が、国家が一つの秩序に服する前の中世ヨーロッパ的価値観を受け継いでいるという説はとても魅力的です。冷戦でアメリカがソ連の対立軸となったのも、絶対主義を経た人々にはその最先端とも言うべき共産主義と明確に対立できなかったのに対して、次元を異にするアメリカにはそれが出来たと考えれば理解できますし、頑迷とも見える福祉制度嫌いもこの文脈でならすんなりと理解できます。自由に対する責任とは、所詮他人がする自由の行使だという認識は必要だと思います。2014/07/25

Toru

0
世界史上の社会現象だけでなくワーグナーの『ローエングリン』なども題材とされており、とっつきやすかった。近代の決闘についてもうちょい書かれてると良かったー「決闘裁判」とは呼びにくいのかもしれないけど。2012/06/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/56233
  • ご注意事項