内容説明
日本の裏面史に閉じ込められた遊女たちの声。暗く湿った〈郭〉のイメージに隠された事実。北は能代から南は那覇まで、往時の賑わいの痕跡と遊女たちの秘められた物語を掘り起こす歴史紀行。
目次
第1章 忘れられた遊里を訪ねて―地方遊里史研究への視点
第2章 江戸時代の地方遊里
第3章 港に集められた女たち―港と遊里(一)
第4章 遊女たちの面影―港と遊離(二)
第5章 山の自由に群がった人々―鉱山と遊里
第6章 遊女の墓―加賀・串茶屋
第7章 女たちの自治―那覇・辻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
9
このところまとめて遊里史のようなものを読んでいるが、やはり三都以外の資料って少ないんだよね。この新書は、地方の遊里についてまとめたもので、出色の本だった。懐古趣味や後世の勝手なポエジーに対する姿勢もきちんとしている(批判自体もポエジーと言われるのかもしれないが)。最終章の琉球の遊里のあり方に関する話は、まったく知らなかった。神事との接続という点で、一段、古い形態が混在していたということなのか?しかしまあ人間というものは、どこでも似たようなことをしているものだ。2020/11/01
あなた
2
地方の遊女たちを見つめ直すことで、中央から語られがちだった遊女の歴史を語り直そうとしている。松本てふこさんの「よそ者として一心に踊りたる」の句をちょっと思い出した。あ、じぶん、よそ者だよね、というときに、ねっしんにやればやるほど、どこか集団になじんでいくなにか、と、やればやるほどずれていくなにか、がある。うちとけられるものと、うちとけるほどずれてゆくもの。そういうのを、おおざっぱにしないで、いつも感覚していたいよね、というのが物語の感性なんじゃないかと思う。話す、ということのねっこというか。2021/11/30
ナツ
2
読みごたえがあって非常に良かった。よくあるメジャーな吉原や玉の井等の遊郭や赤線地区ではなく、なかなか知る機会の無い地方の遊里がメイン。各地区の成り立ちや特徴、他との違いなどもわかり楽しめた。2018/05/26
kycorine
2
「遊女」という言葉がマイナスのイメージを持つようになったのはいつか。はじめは祭りの花形であり、また尊敬の対象でもあった「遊女」の転落の発端、移り変わりなどを江戸だけではなく地方からも理解できる一冊。単元が細かく分けられており、短い時間にも区切りよく読みすすめることができた。「遊女」とは何だったのか、が非常によく分かる一冊だった。2010/11/01
fukura
1
花代の由来2011/09/04