内容説明
人は死を選択する権利を持ちうるのか。終末期医療と「尊厳ある死」のはざまで死の受容を考える。
目次
第1章 安楽死とはどのような死か
第2章 尊厳死についての考察
第3章 生命の尊厳と医療現場、そしてこの社会
第4章 高齢化社会と死生観
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林 一歩
24
論旨はズレるが、曖昧な宗教観が育んだ日本人の死生観は、曖昧さゆえの優れた部分があって、僕は否定しない。どちらかと言えば肯定派だと言っても過言ではない。尊厳死にしろ安楽死にしろ、当事者(=本人)が是とするならば、声高に否定は出来ないはずだ。逆にそれが大前提。そこに医療に従事する人間が登場した途端に話しはややこしくなる。明解なアンサーがない問題だが、生きる権利と同等に延命しない死ぬ権利もあるんだろうなと考える次第。2014/07/15
犬養三千代
6
1993年発行 今は2019年。変わっていないなというのが正直な感想。 2019/06/15
マイケル
4
1993年発行。「日本では尊厳死や安楽死をオランダのように法制化する事態になることはありえない(p197)」、そして、「いずれ安楽死を求めて海外へという事態もありえないわけではない。(p157)」との記述。著者の予想通り、スイスまで行って「安楽死を遂げた日本人(宮下洋一著)」出現。尊厳死肯定派の著者は、欧米との宗教観・死生観の違いと、日本で個人主義が主流でないことで上記のような結論。個人的には、脳死・臓器移植との関連で、リビングウイル所持者の早期治療打ち切り・臓器移植移行が恐ろしい。2019/12/31
吉野ヶ里
3
積極的な尊厳死と消極的な尊厳死。日本の死生観の変化。 現在の日本社会において、死は生と陸続きではないのではいか、と考えさせられた。我々、死を間近に体験していない世代にとって、死というのは、生と隔絶された個であるように感じられる(あるいは、そう感じるのは私だけか?)。死と生は一つの現象の段階であつということを頭では理解できるのに、感覚としては捉えられないのはなぜだろう? 死を経験していないからなのかな。ふうむ、あんま本質と関係ないとこでぐるぐる考えさせられてしまった。 正直、医療倫理とかどうでもいいかな。2014/06/22
アボカド
2
100歳以上が七万人。今後、ますますの高齢化社会となり、それにともない尊厳死を望む者も増えるはずなのに、議論はまったく進まない。個人の権利に関しての議論は日本人は苦手なのだろうか。他の誰でもない、自分の生死にかかわることなのに。2019/09/19