講談社現代新書<br> 精神病理からみる現代思想

講談社現代新書
精神病理からみる現代思想

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  • サイズ 新書判/ページ数 211p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784061490758
  • NDC分類 493.71
  • Cコード C0210

内容説明

離人症における自明性の解体、分裂病が示す自他認識のエポケー、失語症にみられるシニフィアンの交錯など、精神病理を題材に、現象学、フロイトから、ラカン、デリダへと至る、現代哲学にアプローチ。

目次

序章 意味の彼方へ
第1章 自明性の解体
第2章 主体の在り処
第3章 無意識の働き
第4章 シニフィアンの戯れ
終章 差異の形而上学批判

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

SOHSA

25
《購入本》精神病理、精神疾患を現代思想・哲学から読み解いたものであり、かつ又逆に現代思想・哲学を精神病理の点から読み解いたものでもある。非常に難解なテーマでありながら比較的わかりやすく丁寧に書かれており、著者の言わんとするところがストレートに伝わってくる。現代思想というアプローチからのみでは見えなかった風景が見えてくるのは愉しい。やはりひとつの視座にとらわれないフレシキブルな思考が新たな一歩に繋がるのだろう。2015/04/10

さえきかずひこ

10
フロイト、ヤーコブソン、ラカンなど人文学の知見を援用し、強迫神経症、失語症、分裂言語などの精神病理を読み解き、シニフィエ無きシニフィアンは存在するが、シニフィアン無きシニフィエは原理的に存在し得ないと結論する一冊。ぼくはフッサール現象学に関心があるので、最終章でのデリダによるフッサール批判、具体的にはフッサールの純粋自我にはつねにすでに過去が忍び込んでおり、純粋ではないという指摘がとてもクリティカルに感じられデリダもいずれ読まねばと思った…。果たして読んで理解できるのかは分からないが。2019/09/20

Z

7
もう少し内容が重くても良かったが、良書と思う。フロイトやハイデガーの思考をかみ砕きながら、論旨が展開され、他者の思想を応用して論理的にものを述べるいい手本と思う。内容は言葉や意味に関する考察である。精神病理から見るのは、普段我々が自明と思っていることに不全を感じる人を通してみることで、自明なものの構造が浮かび上がってくるからであり、自明なものの構造を考えたハイデガーの現存在の分析と、精神病理について考えたフロイトをはじめヤコブソンなりラカンなりを接ぎ木し、「シニフィアンのシニフィエに対する優位」(雑にいう2019/09/24

花梨

3
難しい。慣れない用語のせいだろうか。しかし、患者が述べる体験談はやはり迫真に迫っていて、読み応えがある。臨床家はどう解釈しているのかも少し知ることができて興味深かった。2022/11/01

れどれ

3
展開される理論にはやや牽強付会が見受けられるものの、断片的に知識を拾うにはもってこい。用語や観念の説明が呑み込みやすく、また引用にしてみても強力な文言および挿話が寄せ集められている。読み終えて思ったことには、現代思想は精神病理といった実際的な手立てに運用されてようやく価値を与えられるいわば補語にされがちな属性があるのに、この本ではしっかり目的語にしている。だからこそ理屈と理屈の繋ぎが本当に惜しい。2020/02/09

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