内容説明
「隠されたる神」の実在がユングを勇気づける。明晰で合理的な意識とふくれあがる無意識の領域。分裂した自我の統合をめざすユングにグノーシスの呼び声がとどく。ヘレニズムの精神的発酵のうちに生まれたこの思想は、ヘルメス学、カバラ、薔薇十字に受け継がれ、集合無意識、星の強制力などの概念をユング心理学に胚胎させる。
目次
第1章 自我の統合を求めて
第2章 グノーシス主義とはなにか
第3章 グノーシスの諸派
第4章 ユングの夢分析
第5章 錬金術師とその象徴
第6章 薔薇十字の秘密
第7章 宗教と科学の接点
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
13
グノーシスから錬金術、薔薇十字までに至るヨーロッパのオカルト精神史にユングがどのように影響を受けたのか、という本で、むしろグノーシスの神話や錬金術のシンボル解説など、ユング理論よりそちらの紹介に力を注いでいる印象がある。グノーシス的な原人、オカルト的な完全人のイメージとユングの個性化の理論がいかに深く絡み付いているかを指摘していて、ユング心理学を入り口にしたヨーロッパ裏文化史への導入としても楽しいが、理論的な解説はでさらりとした部分のみであり、あくまで軽いガイドブックである2015/05/10
はけ
2
文章読みやすくてすき
あかふく
1
『不動カリンは一切動ぜず』参考文献。無をどう語るか。2013/06/21
りん
0
最後の4行のために書かれた本2016/09/01
しゃいる
0
オカルトの研究に没頭し、晩年にシンクロニシティの概念を生み出した精神分析医、ユング。ユングの解説本というより、ユングをとっかかりとして西洋オカルトの世界を述べた本。内容が多岐にわたる分、事実の羅列気味なところが残念。2015/07/01