講談社現代新書<br> 万葉の秀歌 〈上〉

講談社現代新書
万葉の秀歌 〈上〉

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  • サイズ 新書判/ページ数 265p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061457331
  • NDC分類 911.12

出版社内容情報

【内容紹介】
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな――額田王
あしひきの山川の瀬の響るなへに弓月が嶽に雲立ち渡る――柿本人麻呂の歌集
四季のうつろい、たぎるような相聞、身を裂く挽歌――。『万葉集』20巻は、日本人のこころの底に生きつづける抒情の原点である。本書は、『万葉集』4500余首の豊かな森にわけいり、ながく親しまれてきた名歌・秀歌の花々をつみとり、万葉学の最新研究成果をもとりいれながら、詩的香りの高い鑑賞に読者をいざなう力作である。上巻は巻1から巻10まで135首を収録。

降る雪はあはにな降りそ吉隠の猪養(ゐかひ)の岡の寒からまくに――但馬皇女の没後、穂積皇女が「悲傷み流涕きて」つくった歌である。但馬の死は、和銅元年晩夏のころであった。葬の行事のあと、「吉隠」に埋葬された。秋が凋落の気配を迎え、やがて冬になり、ついに雪が降った。穂積は地下に眠る但馬の冷たさを思って、墓を望む地にあって歌う。「雪よそんなに降るな。あの猪養の岡に眠る但馬が寒いことだろうに」。穂積の情念は死者を生者のごとく推理し、生者として思いつづけていたことであろう。全『万葉集』中10首にも入れうる秀歌だと思われる。――本文より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

292
中西進氏の選になる万葉集アンソロジー。現存の万葉集研究者では、この人の知名度がおそらくはN0.1だろう。上巻では巻1~巻10から135首が採録されている。いずれも名歌だが、当代第一の研究者によって4500首ほどの中から250首が精選されているのでそれも当然か。新古今以降は長歌が姿を消し、和歌=短歌になるが、万葉では人麻呂の挽歌をはじめ長歌ならではのものがある。今回、心に響いたベスト・ワンは大来皇女の「磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと言はなくに」だ。大津皇子の移葬の時の歌とされる。⇒2017/01/23

kagetrasama-aoi(葵・橘)

25
令和初のお正月にこの一冊選びました。「万葉集」には本当に秀歌がたくさんあります。初春に相応しいお和歌を一首。“石ばしる 垂水の上の さ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも 志貴皇子” です。巻八の巻頭歌、詞書には「よろこびの御歌」とあります。まさに春(正月)の喜びに満ちたお和歌。大好きな一首です。政治的にはあまり恵まれたとは言えない天智天皇の皇子ですが、文学的には燦然と輝く一人ではないでしょうか!2020/01/03

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