出版社内容情報
【内容紹介】
大手石油会社に勤める青年エンジニア田崎健治は、世界に先んじて反公害技術のプロセスの開発に成功、喝采の嵐のなかでエリートの道が約束されたかに見えたが……。妬み、女、引き抜き工作、そして立ちはだかる家族的経営の欺瞞の壁。企業の非情がもたらす人生の無惨と製油業界の暗闘を描いた長篇企業小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うめけろ
6
前に読んだのを忘れていて図らずも再読したんだけど、最後の強烈などんでん返しまで見事に忘れていたので二度目も楽しめました(笑)。時代設定が古くて、話の内容は全然違うけど山崎豊子さんの『不毛地帯』に雰囲気が似てるなあと思ってたら、この作品は30年も前に書かれたものだったんですねー。そもそも、どういう理由でこの本を手に取ったのかすら、覚えてないんですけどね(^^;)。エリートが色んなことに巻き込まれ、流されていくストーリーですが、ドラマになっていてもおかしくないような小説です。2012/01/23
毎日読書人
3
百田尚樹の小説「海賊とよばれた男」に描かれている出光佐三の姿は果たして本当のことだったのかと疑惑に思って読んでみた。組合結成という言葉はタブーであり、優秀な技術者でも能力を発揮できない部署へ左遷されてしまうという社会になっていると批判的に書かれている。 しかし本筋の流れのほかに(読者サービスなのか)主人公の家庭の崩壊と好みの女性への思いや情事が濃密に描かれている。解説で朝日新聞の雑誌編集長が司馬遼太郎の登城人物がすべて高潔で気品にあふれているのに対し高杉作品がリアルであることの特質を評価している。2016/12/01
Hidetoshi Morita
3
出光興産の社員の話。海賊と呼ばれた男が表なら 虚構の城は裏である。出光では労組はタブーである。2015/01/16
mozuchali
2
高杉さんの処女作で、大家族主義・日本型経営のモデルと言われる出光の特異な企業体質に翻弄される技術者が主人公。薄々フラグが立ってはいたが、物語の最後の最後、まさかの展開に驚かされた。2013/01/07
pastis56
1
著者のデビュー作とのこと、途中から一気に読んでしまった。「海賊とよばれた男」を以前に呼んだので、また違った視点から見ることができて良かった。2021/05/14